怒涛の魔導騎士団

 ブロッス帝国の城門前でギン達と魔導騎士団の戦いが始まる。開戦して間もなく、ジエイはいきなり騎士の1人の懐に飛び込み、短剣で騎士を斬りにかかる。


 騎士は剣で応じるがジエイの動きも素早く、かわしつつ騎士を斬りつける。


「ぐはっ!」


 ジエイに斬られ、たじろぐ騎士を従士達が援護しようとするが、ジエイが火遁の術を放ち、近づくことができない。


 ブライアンが従士達に斧で斬りかかり、次から次へと従士達は倒れていく。


 その様子を見たカイスはトーラスに作戦を伝える。


「トーラス、私は右から部隊を展開させる。お前は左から部隊を展開させ、挟撃するぞ!」

「はっ!」


 更にカイスは従士並びに兵に指示を出す。


「皆の者、ゆくぞーーー!」

「おーーー!」


 カイスは右側より、トーラスは左側より仕掛けにかかる、トーラスの側にヨナが傭兵団を指揮して立ちはだかり、トーラスに言い放つ。


「そう簡単にあんた達の好きにはさせないよ」

「我らを敵に回すこと自体が間違いだという事を思い知らせてやる」


 トーラスは自ら剣でヨナに斬りかかっていく。傭兵達もヨナを助けにいこうとするが、トーラスの指揮する兵に阻まれる。


 ヨナは弓を得意とするが、先にトーラスに懐に入られ、弓が放てない。


「お前があの傭兵どもを従えているならば、お前さえ始末すれば烏合の衆だ。覚悟!」


 その時、横より風魔法が放たれ、咄嗟に魔力障壁で防ぎ、1度ヨナよりトーラスは距離をとった。


「大丈夫?ヨナ」


 ヨナに声をかけたのはルルーであり、ヨナも返答をする。


「ああ、大丈夫だよ、ありがとルルー」

「私達が突破したら城になだれ込む危機感もあるかもしれないけど、今回の魔導騎士団はかなりの士気の高さでいつも以上に手強いわ」

「プラナの死を利用するくらいだからそりゃ、必死だよ。プラナがあいつの言葉を聞いたら泣いちゃうんじゃない」


 ギンの行動をあえて制止しなかったものの、内心ヨナもカイスがプラナの死を利用したことに憤りを感じている。プラナがカイスに対し好意を抱いていることを知っていればなおさらだ。


 ムルカもルルー達の戦線に加わり、声をかける。


「ルルー、ヨナ殿、確かに今回の魔導騎士団は今までにないくらい手強い。だが我らがこの戦いを制すれば戦争終結も近くなる。弱気にはなるな」

「もちろんです、私も命をかけて臨みます」

「そもそも、あたしはあいつらをメチャクチャにしてやりたい気分で、ある意味あいつらよりたぎっているよ」

「それは頼もしいな」


 士気の高い魔導騎士団、だが彼らを打ち破らなければ戦争終結は遠のく。


 負けられない戦いはまだ始まったばかりだ。

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