帝国屈指の騎士

 ルルー、ムルカ、ヨナと傭兵団がトーラスの部隊と対峙している頃、カイスが指揮する部隊の兵に対し、ウィルがヨナの傭兵団と共に攻撃を仕掛けている。


 ウィルが次々と兵士を倒していくが、数名の魔導騎士がウィルに対し、魔法で攻撃を仕掛ける。ウィルの前に風の楯が発生し、ウィルは守られる。風の楯を発動したミニルがウィルに声をかける。


「兄さん、少し前に出過ぎよ、もう少し慎重に戦わないと」

「慎重にしてたら先制攻撃されちまうだろう、敵の士気が高いんじゃ、なおさら弱気にはなれねえよ」

「私はもう少し、考えてって言ってんのよ」


 ウィルとミニルが会話をしており、そこにカイスが口を挟む。


「戦場で談笑するとはずいぶん余裕だな、我らを甘く見過ぎない方が良いと思うが」

「お前達を甘くは見ちゃいねえ、それよりもあんたももう少し、自分の部下に気を配った方がいいんじゃないか」


 ウィルがそう言うと、エイムが石の魔法で兵達を攻撃していた。


 その状況に救援に向かおうとするカイスであったが、ギンより剣で斬られそうにはなるが、自らの剣でギンの剣を止めることに成功する。


 互いに距離をとると、ギンより言葉が発せられる。


「カイス、お前が決着を望むというなら、それを受けて立つ」

「ふっ、これまでお前には何度も示唆をなめさせられたからな、ここでその借りを返してやる」

「お前が部下であるプラナの死を利用し、将兵の士気を上げるやり方を否定するつもりはない。だが、これだけは聞いてくれ」

「何だ?」


 次の瞬間、ギンはカイスに対し強く呼びかける。


「プラナは、お前の死は望んでいない。それどころかお前に会いたがっているんだ」

「プラナは死んだのだ!命を奪った貴様がこれ以上戯言をほざくな!」

「あくまで、お前はプラナは死んだと、そういうことにするのか」

「騎士プラナは死んだ!それは紛れもない事実だ。貴様を討ち果たすことが弔いになる」


 カイスはもはや部下の手前プラナの死を否定できない状況であり、ギンを倒すことこそプラナの弔いとなると強く言い放つがそのカイスの声を聞いてギンは違和感を覚えるが、今は戦いに集中することとした。


 ギン、カイス、互いの実力は拮抗しており、一進一退の攻防が続く。


 ギンは剣戟の合間に火球を放つが、カイスの装備も魔力障壁が施されており、ギンの魔法は無力化されていた。


「やはり、通じないか」

「ふっ、当然だ。私の魔法も受けてみろ」


 カイスは左手より雷の魔法を放ち、ギンは魔法剣で受け止めることに成功する。


 一進一退の攻防、この戦いを制するのは?

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