兄として
プラナとの一騎打ちを制し、ギンの勝利かと思われたが妹を殺すことへの忌避からギンは自ら剣を手から離し、戦意を喪失してしまう。
だがそんなギンに対し、プラナは容赦なく剣を突きつける。ギンの命の危機を感じたブライアンがジエイに対しギンを救出するよう声をかける。
「やべえ!ジエイ!ギンを助けに行ってくれ!」
「承知!」
ジエイはギンの救出に向かおうとするが、今度はギンより言葉が放たれる。
「来るな!」
救出を拒むギンの声にジエイが戸惑い、さらにギンが言葉を続ける。
「来るなと言った。プラナ、俺の話を聞いて欲しい」
ギンの言葉にプラナが言葉を返す。
「何だ?言っておくが今更命乞いの言葉など聞かぬぞ」
「プラナ、どんなにお前が俺達家族を憎もうとも、やはり俺にとってはお前はもうただ一人の家族だ。そんなお前を例え帝国軍であろうとも俺には結局斬れなかった」
「そんな言葉で今更私が剣を退くとでも思ったか。それが甘いというのだ!」
「分かっている、だからもう俺ができるのはこれしかない」
そう言ってギンはプラナに対し自らの背中を向ける。プラナにとっても想定外な行動であったのか、思わず声をあげる。
「なっ!貴様どういうつもりだ⁉敵に背中を向けるとは、貴様には剣士としての誇りが無いのか⁉」
「プラナ、お前は敵じゃない。俺の妹だ、だがお前にとって俺が憎いというならその剣で俺を斬ればいいい」
ギンの言葉が聞こえたエイムは思わずギンに対し叫んで訴える。
「ギンさん!そんなことしたってなんの解決にもなりません!やめてください!」
エイムの涙の訴えにギンは自らの思いを話す。
「エイム、前にも言ったが、俺は妹が幸せに生きてくれればいいと願っている。だけど俺への、俺達家族への憎しみに囚われていてはそれは無理だ。だからこれでいいんだ」
「そんなの、そんなの悲しすぎます!どうして、そ、ん、な……」
エイムも力が抜けてしまい、もはや言葉が続かず、泣き続ける他なかった。
だがギンの言葉、そして思わぬ行動にプラナ自身も困惑していた。
困惑しつつもプラナはギンに近づき剣を振り下ろそうとする。
ここに来てプラナは先程のエイムにかけられた魔法からのある映像が頭の中に浮かぶ。その映像に戸惑い、剣が止まり、叫びながら剣を投げ捨てる。
「う、うううーーー、あーーーーっ!」
プラナが剣を投げ捨てると、その音にギンが反応し、振りむく。
そこには顔を伏せたプラナがおり、ギンが声をかける。
「プラナ、どうしたんだ?」
「……私……」
プラナの心に何が?
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