衝突の時
ようやく馬車の出発の準備が終わり、ギン達は帝国に行くために、自分達の船を停泊しているピトリ国の港町アイル向かう。
その馬車の中でルルーとムルカが会話をしている。
「前に話したように出発前に司祭様に我らがどうするかの動きを書いた文を送るのだな?」
「はい、事前に我々の動きをせめて司祭様にだけでも把握してもらう必要はあります」
今回例え帝国と決着をつけることができなくてもある程度帝国へのダメージを残すことは可能と考えているルルーはその後、各国と連携したたみかけるか、停戦交渉がしやすくすると考えている。理想はこの戦いでの決着。もしくは停戦にこぎつけるかではあるが。
「そしておそらく魔導騎士団は立ち塞がるであろう」
「はい、そこにはギンの妹かもしれないプラナがいます」
「私としても兄妹同士の殺し合いは避けたい。しかし戦場ではなにが起こるか分からん」
「はい」
ルルーとムルカのやり取りにエイムが口を挟む。
「ムルカ様、ルルーさん、私が魔法を上手くかけて、そんなことはさせません」
「エイム、そうね、でも私達もできうる限り力を尽くすわ」
「はい、頑張りましょう」
エイム達の言葉が耳に入り、ギンも色んな思いが頭の中をうずまくが、アイルの街が近づいていることを告げる。
「そろそろ、アイルの街に着くはずだ。いつでも降りれる準備をしておいてくれ」
ギンが言葉を発した直後にゲンジが引いている馬車からジエイが体を乗り出し、一同に呼びかけている。
「皆さん、あれを見てください!」
ジエイが示す方向には帝国軍らしき集団がおり、よく目を凝らして見ると魔導騎士団の面々だった。
「魔導騎士団」
ギンがそう言って目にしたのは団長であるカイス、そして自身の妹の可能性があるプラナであった。
ギン達を目にしたカイスはギン達に呼びかける。
「そこまでだ、これ以上貴様らを進めさせるわけにはいかん」
カイスの呼びかけを聞いたギンは返答をする。
「カイス、やはり俺達と戦うつもりか?」
「言ったであろう、我々と貴様らとの戦いはもはや避けられんのだ、貴様らを始末せん限り我ら帝国の1強は実現せん!」
カイスの言葉に対してプラナが追随する。
「その通りだ、貴様らはここで我らが始末してくれる」
プラナの姿を見たギンはプラナに対し呼びかける。
「プラナ!戦う前に俺の話を聞いてはもらえないか?お前に話さなければならないことがある」
「何だと?私は貴様と話すことなどない!今日こそ貴様を我らの手で葬ってくれる」
ギンの言葉が届かないプラナ、2人はこのまま敵として最後を迎えてしまうのか?
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