宿りし思い

ギンはプラナとの兄妹の可能性を探る手掛かりとして、かつて自身が父より渡されたペンダントを取り出す。


 そのペンダントを目にしたエイムがギンに対し自分に預けて欲しいとの提案をする。そのエイムの提案を受け、ギンがエイムに尋ねる。


「ペンダントをエイムに預ける?どういうことだエイム?」

「はい、もしかしたらそのペンダントを通してギンさんとあの人が兄妹だということを証明できるかもしれません」


 隣で聞いているブライアンも疑問を感じエイムに質問をする。


「ペンダントを通してか?そりゃあ一体どういうことだ?」

「物には思いが宿るといいます。あまり使わない魔法ですが、そのペンダントにギンさんのお父さんの思いが込めらていることが分かると思います。だから……」

「妹への思いも込められているかも知れねえってことか?ギン、それは何歳ぐらいの時にもらったんだ?」


 ブライアンの問いにギンが返答をする。


「確か。5歳くらいだったと思う。既に妹は養子に出されていたが、それでも分かるのか?」

「とりあえず、どこまで分かるか試してみます。ギンさんペンダントを貸してください」

「ああ」


 そう言ってギンはエイムにペンダントを渡し、エイムが呪文の詠唱を始める。


「古より天と地を司りし者の眷属よ、我が力を糧に我の望みに応えよ。かの物体に宿りし思いを我に示し給へ」


 エイムが呪文の詠唱を終えると、エイムの脳内に様々な映像が流れてきた。それらは断片的ではあり、場面が所々切れてもいた。


 ようやく映像が途切れるとエイムも周囲を認識し、ギンの呼びかけに応じる。


「エイム、大丈夫か?さっきから意識がないように感じたが」

「大丈夫です、それよりギンさんに分かったことを話します」

「頼む」


 次の瞬間エイムは表情を曇らせながらも映像から知ったことをギンに話す。


「まず、ギンさんの妹さんはボースの騎士の家に外交の為に養子としてだされました。ですがその際に今ギンさんが持っているペンダントと同じ物を渡していました」

「ボース、後に帝国として生まれ変わった国か。それじゃあやはりあいつは……」

「はい、ギンさんの妹さんでほぼ間違いないかと……、あの人の話とも合いますし」


 更にエイムは目を潤ませながら話を続ける。


「ですが。ギンさんのお父さんは後悔していました。王様の命令とはいえ、ギンさん達から妹さんを奪った事を……。でもお父さんもお母さんも妹さんの事を思っていました」

「そうだったのか」

「表向きで親ということは名乗れないからルワールからの献上品として妹さんへの贈り物を続けていました」

「父さん、母さん」


 ギンはこの日自身への、そして妹に対しての両親の思いを知る。


 その思いがギンの決意をより強く固める。

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