本当にしたい事
エイムより魔導騎士団のプラナが妹である可能性を告げられたギン。
ギンもまた、プラナに対し懐かしさを感じていたことを打ち明ける。
「最初は気のせいだと思っていた。だが今のお前の話を聞いてやはりあいつは、プラナは俺の妹かもしれない、そう思った」
「でしたら、やっぱり説得してみましょう」
「無理だ!」
「え⁉」
エイムより再度プラナの説得を促されるギンであったが、不可能であることを告げ、戸惑うエイムを尻目に更にギンは言葉を放つ。
「あいつが帝国で、俺が反帝国同盟にいる以上戦いを避けることはできない。それにバンス将軍の命を奪った事であいつが俺の話をまともに聞くとは思えない」
「……それは……でも……」
「それだけじゃない、俺があいつに手心を加えてしまえばそのせいでエイムやみんなの命を落とすきっかけを作ってしまうかもしれない」
ギンは自身の行動で仲間の命を失いたくないことをエイムに伝える。だがエイムはギンの心に訴える。
「私達を大事に思ってくださることはうれしいですし、他の皆さんもそうだと思います。でもギンさんにとって大事な存在は私達だけではないはずです」
「何⁉」
「あの時、私に言ってくれたことは嘘だったんですか?『妹が幸せに生きてくれたらいい』と」
エイムの訴えに対し、ギンは黙って聞いており、エイムは更に言葉を続ける。
「兄妹で殺しあわないといけないことが幸せなわけがありません」
「そんなことは俺だって分かっている!」
「ギンさん……」
エイムの訴えにギンの感情が爆発し、エイムに対し叫ぶが次の瞬間に膝をついて言葉を発するが段々と声が弱くなっていく。
「俺だって、妹を好きで殺したいわけじゃない……だけど、どうしていいか……分から……ないんだ」
ギンの声に震えを感じたエイムは膝をついて顔を伏せるギンに対ししゃがみこんで声をかける。
「ギンさん、どうすればいいかじゃなくて、
「俺は……妹と……プラナと……話がしたい……、できることなら兄妹として過ごしたい」
「ギンさん、本当にギンさんがそうしたいなら私はお手伝いします」
次の瞬間にギンはエイムに対し、顔をあげる。ギンの頬には涙が流れていた。
「本当にいいのか?」
「はい」
「みっともない姿を見せてしまったな」
「いいえ、泣くからといって弱いわけではありません。これもギンさんが私に教えてくれたことです」
互いに信頼しているからこそ弱さをさらせ、本音を話せる。
ギンは自らが望む未来を掴むために小さな一歩を歩みだす。
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