救出の為に

 ギン、ブライアン、ルルーはジエイが残した木の葉の目印をたどり、魔導師団と魔導騎士団の足跡を追っていた。


 そこである場所でたき火の痕を発見し、ギンが一旦馬車を停車し、たき火の痕を一同が調べる。


「たき火の痕か、奴らはここに陣を張っていたかも知れないが、今はいないようだ」


 ギンがたき火の痕を触りながら話していると、ルルーが何かに気付き、ギンに呼びかける。


「見てギン、わずかだけど馬車の車輪の痕も残っているわ」

「ジエイの目印はここで途切れている。とりあえず痕の部分を追いかけてみよう」


 そう言ってギン達は再度馬車に乗り込み、車輪の痕が残っている部分を追う。


 馬車を御し、しばらく進めていると森が見えてきた。


「森だ、奴らはここを通過したのか」


 ギンがしゃべっているとブライアンが後ろから話しかける。


「見ろよ、森の周りをなにかがうろうろしているぜ」


 そう言って接近するとはっきりと人影が見えてきて、ギンはその正体に気付いた。


「魔導騎士団!そうするとやはりこの森を通過したのか」

「でもおかしいわ、何で彼らだけここにいるの?」


 ギンとルルーが話している先でプラナにギン達の接近の報告が入る。


「プラナ様、奴らがこちらへ近づいております」

「追いついて来たか、まだ魔導師団は木をどかせられないのか?」

「いえ、その報告はまだ来ておりません」


 プラナはこの時、いざとなればアビィは自分達を置いて先に森を抜けるかも知れないと考えるが、まずはギン達を撃退することを決める。


「ひとまず奴らを返り討ちにするぞ!」


 プラナが号令をかけると魔導騎士団がギン達の方へと向かう。


「奴らがこちらに近づいて来たか、奴らを突破するぞ」


 ギンが一同に突破するよう呼びかけるが、ルルーから別の案がでる。


「待ってギン、魔導騎士団は私達が抑えるわ。あなたは速度強化の魔法で彼らの間を駆け抜けてそのままエイムの救出に向かって」

「だが、お前達だけに……」


 ギンが何かを言わんとするが、すぐにブライアンに遮られる。


「俺達はエイムを助ける為にここまで来たんだ。全員で戦って逃げられたんじゃ意味がねえ」

「ブライアンの言う通りよ、後方からムルカ様達が来れば私達は大丈夫だし、ジエイが先回りしてくれれば敵もそう簡単には逃げられないわ」


 ブライアンとルルーの言葉を聞き、ギンは強く返事をする。


「分かった、必ずエイムは助ける。お前達も気を付けてくれ」


 そう言うとギンは速度強化の魔法を使い、魔導騎士団の間を一瞬で駆け抜ける。急げギン!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る