危険な罠

 ギンとエイムがラックの街中を歩きながら話している所に、ブロッス帝国の魔導騎士団の一員であるプラナが突如現れ、ギン達に対し宣戦布告とも取れる発言をし、ギンがその事に対し言及する。


「先日、俺達は魔族を倒すために共闘した!それがもうこうして戦う事になるとはな」

「カイス様のお言葉を忘れたか、次会う時は敵。それが今日になったというだけの事だ」


 もはや言葉は不要とギンは判断し、戦闘態勢に移行し、エイムに声をかける。


「エイム!いくら何でもこいつが最高指揮で俺達の前に現れるのは不自然だ。カイス達もどこから現れるか分からないから注意しろ!」

「はい!」

「ブライアン達も騒ぎが大きくなれば気付くはずだ。それまで無理はするな」

「ギンさんも気を付けて下さい」


 ギンはカイス達が伏兵を用意している可能性を考慮し、ブライアン達が気付くまで慎重に戦うようエイムに告げる。

 

 そのギンとエイムのやり取りをみてプラナが言葉を放つ。


か、果たしてそう上手くいくかな」


 そう言ってまずプラナはギン達に対し、得意の火の魔法を放つ。


 プラナの魔法が迫るとギンは剣を魔法で強化し防ぐ。


 その瞬間違和感を覚えたのか思わずエイムから声が漏れる。


「えっ?」


 エイムが声を漏らしたが、ギンとプラナには聞こえておらず、更に戦闘が続く、プラナは剣を抜き、部下と共にギンに斬りかかるが、ギンはプラナの部下達を次々と切り伏せていく。


 そしてギンはプラナと剣のつば競り合いをし、プラナを剣技で圧倒する。


 不利と見たプラナはギンより距離をとる。


「どうした、お前の魔法程度では俺に通じないうえ、剣技で俺に勝つのは無理だ。あきらめてこの場を立ち去れ」

「ふっ、罠にかかったのはお前の方だ」

「何?」


 次の瞬間どこからともなくギンに対し地面より木が生えてきて、ギンを叩き伏せる。


 不意を突かれたものの咄嗟に防御し直撃は免れたが、衝撃で吹き飛ぶ。


「ギンさん!」


 ギンが吹き飛び動揺したエイムに対しプラナが近づき、そのままエイムの体を抑え、拘束する。


「ど、どうして私を……、離してください!」

「黙れ!お前は我らと共に来てもらう」

「わ、私が……」


 衝撃から立ち上がり、プラナがエイムを拘束している光景を目にしたギンはプラナに対し叫ぶ。


「エイム!おい、エイムを離せ!まさか人質にして俺達に降伏を迫る気か?」


 ギンの疑問に対し、別の方向から声がする。


「その必要はない、彼女は我々の所に来てもらうだけだ」

「誰だ⁉」


 ギンが見た方向にいたのは魔術師の女だ。ギンはまだ知らないが彼女は魔導師団の一員であるアビィだ。


 このままエイムはブロッス帝国へ連れ去られるのか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る