捕らわれしエイム

ラックの街に突如現れた魔導騎士団のプラナはギン達に対し戦闘を仕掛ける。その際にギンに魔法が放たれその隙にプラナによりエイムが拘束されてしまう。


 そして今回の作戦を主導している魔導師団の一員であるアビィがギンの前に現れる。


「お前は一体何者だ?」

「私はブロッス帝国魔導師団のアビィだ。そのエイムという少女の身柄は我々が拘束させてもらう」


 今までの作戦と違い、突如エイム個人を狙った作戦にギンは違和感を覚え、アビィに尋ねる。


「何故だ?何故お前達は今になってたった1人の女の子を狙うんだ⁉」

「作戦内容を敵対勢力の一員に話すと思っているのか、愚か者めが!」


 違和感と共に怒りも沸いてきてプラナに対し言葉をぶつける。


「お前は、お前達魔導騎士団は誇り高き騎士団じゃなかったのか⁉それを人さらいという騎士どころか人として愚かな行為に手を染めるとは!」

「だ、黙れ⁉我らにとって皇帝陛下のご命令は全てに優先される!貴様ごときに何が分かるか!」


 ギンが、プラナやアビィに対し抗議をしていると他の仲間が騒ぎに気付きギン達の元に駆け付ける。


 プラナにエイムが拘束されている状況を見て最初にルルーが声をあげる。


「エイム⁉どういうことなの?」


 正面切って戦う事は難しいとみたアビィがこの場を離れる決断をする。


「今、こやつらと戦うのは得策ではないな、目的は果たしたし長居は無用だな」


 そう言ってアビィは潜ませていた部下と共にギン達に対し魔法を放つ。


 ルルーが魔力障壁を張り、ギン達はダメージを受けなかったが、プラナやアビィ達、そしてエイムの姿はその場から消えていた。


 その状況にブライアンが最初に言葉を発した。


「ちきしょう、逃げ足の速い奴らだぜ」


 ブライアンの言葉にジエイが返答をする。


「魔術師が複数いたので、攻撃魔法で我らの目をくらまし、移動に関する魔法をそれ以外の者が使ったやも知れませんな」


 呆然とするギンに対しムルカが尋ねる。


「ギン殿、何があったか我々にも話してくれぬか」

「……はい、実は……」


 ギンは突如プラナが現れ自身に攻撃を仕掛け、アビィより魔法の不意打ちを受け、その隙にエイムが拘束されたという、一連の流れを説明し、一同に謝罪する。


「すまん、俺の判断ミスでエイムは連れ去られてしまった」


 謝罪するギンに対し、ルルーがフォローと自らの責任についての言葉を放つ。


「ううん、あなただけのせいじゃないわ。私達も魔導騎士団と共闘したことでまさかこの国で彼らと戦闘になるなんて考えなかったもの。私達全員が油断してたも同じよ」


 誰もがエイムを連れ去られたことに責を感じてはいる。だが悔やんでいる暇などない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る