家族への思い
一同がそれぞれ自身の用事や買い物に向かう中、ギンとエイムは広場を離れて街の大きい道に出る。
ギンの表情が何かを考えているように見えたエイムは思わずギンに尋ねる。
「あのギンさん、どうしたんですか?急に考え込むようなお顔をしていたので」
「ん?ああ、ウィルとミニルを見て思ったんだ。もし俺が妹と引き離されずに暮らしていたらああいう感じだったのかと」
ギンはウィルとミニルを見て幼き頃に他家に養子に出された妹の事を思っていた。そのギンの言葉を聞いてエイムが自身の考えを話す。
「そうだったんですか、ウィルさんとミニルさんはケンカしているようでも仲が良いと思いますし、ギンさんもそれに憧れているんですか?」
「さすがにずっとあんなことを言われるのはごめんだな」
「フフフ、そうですよね」
エイムの返答を受け、ギンはエイムにも尋ねる。
「エイムはもうご両親と離れて大分経つが会いたいと思う事はないのか?」
「正直言うと旅立ってからいろんなことがあり過ぎてあまりそういうことは考えてはいなかったのですけど……」
「けど……何だ?」
「私もウィルさんとミニルさんを見て思ったんです。お2人はご両親の元を旅立ったのは私と同じなんですけど、ご兄妹そろって旅をしている。それを見ていると、やっぱり思い出しちゃいますね」
この時ギンの中に1つの思いが生まれた。
やはりエイムには実の両親の話をしなければならないと。受け止めるのは辛いかも知れないが、このまま知らずにい続けることはエイムの為にもならないと。
多少唐突でも話すしかないとギンは意を決する。
「エイム、実はお前に話さなくてはならないことがある」
「え、私にですか?」
「そうだ、実は……」
ギンが話そうとするとギンの言葉に被せるようにどこからともなく声がする。
「ふっ、随分とのんきに過ごしているな」
聞き覚えのある声にギンとエイムは臨戦態勢を取る。
「この声は⁉」
ギン達が向いた方向には魔導騎士団の一員であるプラナが部下を引き連れ立っていた。
「お前は、プラナ!」
「ほう、私の名まで覚えていたとはな」
「どういうことだ?何故お前達がここに⁉」
「例の芝居の一団を護衛していたから見逃したまで、それが終わった今、貴様らを見逃す理由は我々にはない」
プラナの言う事は敵対勢力同士もっともなことではあるが、ギンには腑に落ちない点があった。
「カイス達はどうした?いくらなんでもお前が指揮をとって俺達を倒すのは無理があると思うが」
「黙れ!貴様らにカイス様のことを話す必要はない」
一時共闘したのも束の間、またしても魔導騎士団と戦うギン達。この戦いの行方は?
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