書き続けるには環境が大事

さて、ここからは実体験を交えつつ、持論を展開していこうと思います。



前回までに述べた通り、私は打ち切り後も諦めず、執筆や新人賞への応募を続けて再デビューを果たしました。

私のように打ち切りからの復帰や、もしくは初デビューを目指す方。あるいは投稿サイト内で人気になりたい方。

方法論は数多あれど、行き着くところはとにかく『書く』という手段に帰結します。

当たり前ですが、小説を書き上げないことには何ひとつ始まりませんからね。


しかし、それをするためには『環境』が大事だと思っています。


ここで言う『環境』とは、パソコンやスマホやタブレットといった端末、集中できる快適なお部屋という意味ではなく、執筆を続けるための土台となる『生活』と言った方が分かりやすいでしょうか。


毎日の仕事でクタクタになっていたのでは、帰宅後に執筆に費やす時間や体力は残されていないでしょう。

収入が不安定なのに、養うべき家族がいるのに、仕事もしないで朝から晩までラノベの執筆に没頭するのは、世間一般では褒められたことではありません。

もちろん、そういった状況の中でも名作を書き上げて、大ヒットを飛ばした作家さんも存在します。ですがそれは少数レアケースと呼べると思います。


学校、会社、家庭……。

まずそれらの『生活』や『日常』がしっかりと土台にあって、その上に『執筆』や『小説』という分野を持ってくるべきです。

しかもそれが『趣味』の領域を未だ出ていない段階なら、なおさらです。


私のように、書籍化が決定しただけで学校を休んだり、あるいは会社を辞めたりするのは得策ではありません。編集者も出版経験者も、全員が同じことを言うはずです。


ラノベ作家になっただけ・・・・・で、人生は激変などしません。


学校生活や会社員としての仕事、家庭での日常は、変えずに継続していくべきです。



私は20歳以降、地元に戻って家業を手伝いつつ、シナリオライターとしての僅かな収入も得ていました。加えて、今年97歳になる寝たきりの祖母の介護もしていました。

現在進行形で、病院の付き添いや着替え、食事の用意などを手伝っています。

良い年して実家住まいで正社員でもなく、多少はお金になっているとは、ラノベを書いているのだし……という想いは確かにあります。

ですがそれ以上に、実家から出て行って祖母を放置して、大した仕事もせず、小説の執筆だけに専念するのは、精神的に不健康だと感じる性分だからです。


そうした想いを家族に伝えたことはありません。

ですが19歳でデビューしている実績と、多少の収入で税金の支払いなどを何度か肩代わりしていることもあり、身内から「ラノベを書くのなんて辞めて、サラリーマンにでもなれ」と言われた経験は今のところないです。


ですので皆さんもそんな風に、せめて周囲から反対されない状況や環境の中で、執筆活動やプロデビューを目指した方が良いと思います。



まずは落ち着いて執筆を継続できる『環境』を整えるべき――というのが、8年に渡る投稿生活を続けた私の、率直な意見です。


「ラノベでも書いて人生一発逆転するかぁ」なんて考えは、下手すると宝くじを買うよりも期待値が低く、コスパが悪いかと思います。

そもそも『ラノベ作家デビューしたから会社辞めたのに、すぐ打ち切りになって人生詰んだ』という可能性も存在するので、一発逆転どころか、本当に危険な落とし穴が存在しているのだと肝に銘じるべきです。


しかしそれでもプロになりたい。小説を出版したい。

その願望を叶えるためには、様々な手段があります。


その中でもメジャーな『新人賞に応募する』ことについて、そして『落選した作品を他の賞にも送る』ことの是非について、次回は語っていこうと思います。

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