18話 超ザコの門番。
18話 超ザコの門番。
階段を降りると、
そこには、『デカイ扉』と、
『その扉の前に座するスライム』が一匹。
その、なんの変哲もないように見えるスライムは、
『最奥の間』まで降りてきたセンたちを見つけると、
「へー、よくここまで来られたねぇ。すごい、すごぉい」
と、センたちを称賛する。
手があったら拍手していただろうが、
『ハンドボールサイズの楕円形』でしかないスライムでは、拍手をすることもできない。
「ニーは20ミリオンスライム。種族名はゴッドエンシェントスライム。識別ナンバー00000001。親しみを込めて、ニーのことは、ニーと呼んでほしいな」
そんな、愛らしいスライムに、センは、
「……ニー、一つだけ聞きたいんだが、お前は、扉の向こうからきた存在値1兆の敵か?」
「ちがうよ。ニーは『ここまでたどり着いた勇者』に『この扉の向こうから、数日以内にレベル1兆の敵が出てくる』ということを伝える係だよ」
「レベル1兆? 存在値1兆だろ?」
「ん? あー、そうだね。『言い間違えた』よ、ごめんごめん」
いったん謝罪をはさんでから、ニーは、続けて、
「あ、あと、ニーは、次元ロックを張って、瞬間移動を規制する係でもあるよ」
と、情報をつけたしてきた。
「……なるほど。ちなみに……俺のプロパティアイでも、お前の存在値が見えないんだけど……お前、もしかして、めちゃくちゃ強い?」
「ニーはすごく弱いよ」
「……そうか。じゃあ、フェイクオーラのランクが高いだけか。よかった、よかった。安心、安心」
「ニーは、存在値『2000万』ていどだからね。超ザコだよ」
「……へー……そ、そうなんだ……2000万……へー……」
顔が引きつっているセンに、
「本来であれば、この扉の向こうから『1兆の敵が出てくる』ということを伝えて驚いてもらうっていうのが、ここにニーがいる理由の一つなんだけど……どうやら、君たちは、最初からソレを知っているみたいだね」
「ああ。俺は知らんかったが、後ろにいる二人は、生まれる前から知っていたらしいぜ」
「へー。そうなんだ。まあ、世の中、不思議なことはいっぱいあるからね。そういうこともあるのかもね」
「ちなみに、ニー、お前は、存在値1兆の敵が、いつ襲来してくるのか、その具体的な日時を知っているか?」
「うん、知っているよ」
「教えてもらえたらありがたいんだけど」
「明後日(あさって)だよ」
「……おぉう……マジすかぁ……」
天を仰いで、絶望しつつ、センは、
「はやいよぉ……明後日とか……急すぎるだろぉ……」
「急すぎるってこともないと思うよ。なんせ、『おととい』に来ていた可能性もあったからね」
「……はぁ?」
「具体的に言うと、『おととい』か『明後日』のどっちかで出現する予定だったんだよ」
「……すでに襲来していました、っていうパターンもありえたのか……エグいねぇ……」
「もっというと、『おととい』と『明後日』の両方ともで出現するという可能性もあったみたいだよ」
「……よかったよ、その可能性が実現しなくて。1兆の二体同時討伐は、さすがにしんどすぎる」
「あ、ちなみに言っておくと、ニーの仕事は、『ヤオヨロズの迷宮を踏破した勇者に対する伝達役』と、『次元ロック係』と、あともう一つ、『お掃除役』の3つの役割を持っているんだよ」
「……最後の一つが、キナ臭いな……どういう意味の『お掃除』なのかな?」
「――『絶望への挑戦権』を持たないザコ勇者をイレイザーするって意味だよ」
そう言うと、ニーは、全身をオーラで充満させていく。
センでも震え上がるような、猛々しいオーラ。
高次フェイクオーラのせいで、本当の数値は見えていないが、
すさまじい覇気にあてられて、ションベンちびりそうになる。
「ニーにも勝てないようなカスは、絶望に抗う資格なし。というわけで、さあ……前哨戦(ぜんしょうせん)であるニーをサクっと倒してね」
そう言いながら、
ニーは、センに向かって、突撃をかました。
00000000000000000000000
名前『20ミリオンスライム/識別ナンバー00000001』
《レベル》 【700】
(存在値) 【2000万】
[HP] 【8000万/8000万】
[MP] 【1000万/1000万】
[スタミナ] 【500万/500万】
「攻撃力」 【300万】
「魔法攻撃力」 【300万】
「防御力」 【1800万】
「魔法防御力」 【1800万】
「敏捷性」 【1000万】
「耐性値」 【5000万】
「HP再生力」 【200万】
「魔力回復力」 【200万】
「スタミナ回復速度」 【30万】
「反応速度」 【1500万】
「隠しパラメータ合計値」【9500万】
習得魔法「無数」
グリムアーツ「なし」
スペシャル「ゴッドメタルボディ」「超頑強」「我慢強い」「パワーファイター」「テクニシャン」
戦闘力評価「★★★★★★★★★★」
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