16話 世界中の美女をかきあつめてハーレムをつくる夢。
16話 世界中の美女をかきあつめてハーレムをつくる夢。
「あんた、バカなんでちゅか?」
「賢くはないが、バカではないつもりだ。一応な。……いや、もしかしたら、バカかもしれない。少なくとも、絶対に賢くはないな」
などと、『ファントムトーク(中身のない言葉で世界をケムにまくトーク術)』でお茶を濁すセンに、
「あんたが『ケタ違いに強い』ってのは、さっきの『アダムとのアレコレ』で、なんとなくわかりまちたよ。存在値17万という話も、あながち嘘じゃないのかもしれまちぇんね。けど、それが事実だったとしたら、むしろ、オイちゃんには自殺させるべきじゃないでちゅか? 合理的に考えて」
「お前が言う合理的ってのは、アレか? お前を死なせておけば、自動的に『1兆の敵』がいなくなって、『17万の俺』の天下になるっていう」
「分かっているじゃないでちゅか。あんたの強さがあれば、何でも自由にできるじゃないでちゅか。おっぱい触るどころじゃなく、世界中の女をかきあつめてハーレムすることだって余裕でちゅよ。……その欲望は、オイちゃんが死ねば、間違いなく叶う。今、ここで、あんたが『絶対にしなければいけないコト』は、むしろ、オイちゃんを殺して、1兆の敵を封印すること。それだけじゃないでちゅか?」
シューリの『合理的な正論』を受けて、
センは心の中で、
(まさにその通りだな。それが正解だ。――わざわざ無理して『1兆の敵』とたたかおうとするのは、ただの馬鹿)
と、自分自身を鼻で笑う。
(でも、バカでいい……お前が死ぬのを黙って見ているくらいなら、お前を守るために、『1兆の敵』に挑む方がいい……)
そんな『自分の想い』を伝えるべきか、と、センは一瞬だけ悩んだ。
しかし、
(……どんな言葉を使っても……この想いを伝えることなんか、できるわけがねぇ……)
センは自嘲する。
『言葉の不完全さ』を鼻で笑う。
――生まれてからずっと地獄だった。
誰も助けてくれなかった。
どこにいってもゴミ扱い。
……そんな中、たった一人、手を差し伸べてくれた。
(愛されないのは別にいい。孤独も、むしろ心地いい。……ただ……)
――あの日、初めて会った日、
『シューリ』が、『センの父であるバースディ・カルマ』を脅した直後のこと。
『……あり……がとう……』
『感謝されるようなことは何もしてまちぇんけど、もし、オイちゃんに、何かを返したいなら、言葉ではなく、行動で示してくだちゃい。言葉なんて、1テスの足しにもなりまちぇんからね』
『……』
『そうでちゅね、例えば……世界一のヒーローになって、オイちゃんのピンチを救いにくる、とか。そのぐらいのことをして、初めて、意味のある行動になりまちゅ。それが出来ないなら、何もしなくて結構。そもそも、オイちゃんは、あんたに何もしていまちぇんち』
(……いま思えば、あれは、シューリなりの悲鳴だったんだろう。……生まれた時から『生贄になって死ぬのが決まっている』という人生。それを受け入れるしかない『変なプライド』を持って生まれた者の静かな慟哭(どうこく)……『最初から死ぬのが決まっていた人生』と言う点で、シューリは、俺に、自分を重ねたのかもしれない……)
うがった見方かもしれない。
けど、
(誰も助けてくれなかった……そんな中、どんな理由であれ、とにかく、お前だけは、手を差し伸べてくれた……それが嬉しかった……ほんとうにうれしかった……)
だから、
同じことをしてあげたいと思ったんだ……
「――さっき言っただろ。やりたいことは全部やるって。俺には、とりあえず『これだけは絶対に叶える』と決めた夢が二つある。一つは、世界一の美女とイチャイチャすること。あと一つは、最強のヒーローになること」
苦しくて、辛くて、どうしようもないときに、
ヒーローとして、手を差し伸べてあげたかった。
『本当にうれしかったんだ』ということを伝えるのは、
――それしかないと思ったんだ。
―――――――――――――――
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます(*´ω`)
ここまで読んでいただけただけでも幸せなのですが、
出来るだけたくさんの方に読んでいただきたいと思っておりますので、
どうか、「フォロー」と、「★★★と言う形での評価」をしていただけませんでしょうか。
なにとぞ、よろしくお願いいたします!
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