15話 童貞に決まってんだろ。ナメんなよ。
15話 童貞に決まってんだろ。ナメんなよ。
「……無様でちゅねぇ。『そんなつもりじゃなかった感』を演出しつつも、実は、エロ展開になるよう、巧みにアダムを誘導しているところが、なんとも――」
「う、うるせぇ、うるせぇ! なに、人の心に土足で入ってきてんだ! 男の子の純情を踏みにじるんじゃない! お前、鬼か! 看破(かんぱ)したとしても、そこは、あえて見逃せよ!」
「キモいでちゅ……ほんと……全部、キモいでちゅ」
とことん貶(おとし)められたセンは、
どうやら、『もう、取り繕うのは無理だ』と判断し、だから、全力で開き直る。
「黙れ! 俺は、やりたいことは全部やると決めているんだ! 欲望には抗わない! それをコンセプトに人生やらせてもらってんだ! ――ああ! ああ! お察しの通り、誘導したよ! あわよくば、マジで触れねぇかなぁ、と期待していたよ! 闘っている段階から、死ぬほどカッコつけていたよ! 配下にするとかはマジでダルいから嫌なんだけど、でも、それでも、なんかワンチャンないかなぁ、と期待して、もがき、あがいたよ! それが俺の本音だ! 俺の恥ずかしい部分を暴けて良かったな! 満足かい、この豚野郎!」
「そもそも、要求するのが触るだけっていうのが、一番、みじめなところでちゅねぇ。……揉むでも吸うでもなく、さわるだけ……一番、キモいでちゅ。せめて、そこは、もっと、豪快になれないものでちゅかねぇ。童貞でもあるまいし」
「いや、童貞に決まってんだろ! こちとらピカピカの3歳児だぞ、ナメんなよ!」
「1億歳なんじゃないんでちゅか?」
「精神はな! けど、肉体は、ご覧の有様なんだよ! ほら、みろ、このカワイイお手てを! まるでモミジのよう!」
「……ふぅん。ま、そんなのどうでもいいんでちゅけど」
「どうでもいいなら、踏み込んでくるのやめてくれる? もう、ハッキリしたわ。お前は嫌われても仕方ない。だって、俺が、もう、けっこう嫌いになってるもん。お前、自覚しろよ。『盲目フィルター』がかかっている俺に嫌われるって相当だからな」
そんなセンの言葉を、まるっとシカトして、
シューリは、たんたんと、
「……さっきの力は、本当に、すごかったでちゅねぇ。『半神化』でちたっけ? それって、オイちゃんも頑張れば、使えるようになれるんでちゅかね?」
「……さあ、知らん。俺も、ある日、たまたま覚醒できるようになっただけだから。ただ、俺が出来たんだから、お前でも出来るんじゃないか? 一応言っておくと、俺が半神化できるようになったのは、1000万年以上修行してからだ。1000万年以上の修行が最低条件である可能性は否めない。正直、『半神化』は反則みたいな変身技だからな」
「ふむ……ちなみに、あんたらが使った、そのソウルゲートとやらは、どうやったら使えるようになるんでちゅか?」
「それも知らん。たぶん、運じゃねぇか? アダム、お前は、使用条件とか知ってる?」
「いえ、私も、ソウルゲートについては詳しくありません。ある日、突然、目の前に開いただけですので」
その話を聞いたシューリは、
「……なるほど……ということは、オイちゃんの前にも開く可能性はありまちゅね……」
などとぶつぶつ言っているシューリに、
そこで、センは、
つとめて『真摯な視線』を向けて、
「アダムの登場で、ゴチャっとなったが、ここから、ちょっと話を戻したい。とりあえず、シューリ、自殺するのは、いったんやめてくれ」
「……は? なんででちゅか?」
「さすがに、存在値1兆が相手だと、楽勝できるとは言えないが、今の俺なら、絶対に負けるとも限らない……いや、かなりきついのは分かっているんだが、しかし、可能性があるってことは、今のアレコレで分かったはずだ。だから――」
「え、もしかして、闘うつもりなんでちゅか? 存在値1兆と? え、あんた、バカなんでちゅか?」
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