14話 おっぱい! おっぱい!


 14話 おっぱい! おっぱい!


 センエースの『果て無き輝き』に触れて、アダムの魂魄が歓喜に包まれた。

 『自分』というものの『ちっぽけさ』を理解して、

 センエースという大きな光の『一つ』になることを切に望む。


 『大いなる輝き』の『所有物になることを望む』という、歪んだ要求。

 そんな、危ない要求を突き付けられたセンは、


「ん? 宝石? えっとぉ、それって、……ようするに、俺の弟子とか配下とか、そういうのになりたいってこと?」


「配下にしていただけるのですか?」


「えー、いやぁ……それは、ちょっとしんどいかなぁ……俺、1億年、ずっと、独りでやらせてもらっていて……そっちの方が性に合っていたし……そもそも俺は、孤高主義で……仮に結婚とかしたとしても、基本的には別居のスタンスで、その後の人生やらせてもらいたいって思っているタイプで……」


「そこを、どうか、ぜひ! 私は、あなた様の足元で、ずっと、その後光に触れていたいのです!」


 そう言って、土下座をかます彼女に、


「ねぇ、ちょっと、やめてくれる? そういうことされると、こっちのメンタル的にしんどいから。言っておくけど、そういう行為って、俺的には、ただの自爆テロだからね?」


「配下にしていただけるという確証をいただけるまでは顔をあげることができません。おそらく……いえ、間違いなく、私は、あなた様に尽くすために生まれてきたのです。どうか、この哀れな子羊に、どうか、どうか、御慈悲をっ! この身のすべてを、どうか、あなた様にささげさせてくださいませ! それが、私にとっての、何よりの幸福であると、私の魂が叫んでいるのです」


「いや、お前は、俺に尽くすために生まれたわけではないと思うよ? お前が生まれた理由とか知らんけど、たぶん、もうちょっとマシなことのために生まれてきたんだと思う」


「いえ! 私の存在意義は、あなた様の背中にあります! 絶対に間違いありません! ですので! どうか、私を、あなた様の近くに置いてくださいませ! どうかぁあああ!」


 アダムは頑なだった。

 何を言っても頑として譲らない。


「……」


 ダルそうな顔をするセン。

 が、そこで、頭にピカーンと電球を光らせて、


「あ、じゃあ、条件を一つ飲んでくれる? そしたら、考えてあげる」


「な、なんなりと!」


 そこで、センは、


「おっぱい、触っていい?」


 『全力の欲望』をむき出しにしていくセンに、

 アダムは、一瞬だけ、キョトンとした顔をしたが、

 すぐに、心を持ちなおして、


「私の身も心も、あなた様のものですゆえ、お好きになさってください」


「えぇ……いやいや、そこは、俺を軽蔑(けいべつ)して、『こんなセクハラ野郎の下につくのはやめておこう』ってなるパターンじゃねぇの?」


 と、センが日和(ひよ)っていると、

 アダムは、センの手を掴んで、

 その豊かな胸に押し当てた。


「ふぁっ……」


 ミニスカ浴衣は、布面積が小さく、

 上乳は完全に無防備だった。

 そのあらわになっている胸に触れたセン。


 フニャっとした。

 暖かさに、心が溶けそうだった。


「これで、条件は満たしました。今後、私は、病める時も、健やかなる時も、この命あるかぎり、あなた様に真心を尽くすと誓います」


「そ、その表現はやめようか。墓場に入ったような気になるから」


 と、そんなことを言いつつ、彼女の胸から、ゆっくりと手を離すセン。

 口では文句をいっていながら、顔はちょっとほころんでいた。


 ――そんな彼を、ちょっと離れた箇所から、凄い目で見ている美女が一人。

 その軽蔑の視線に気づいたセンは、

 『すごい顔をしているシューリ』に視線を向けて、


「やめろ! そんな目で見るな! 死にたくなるだろうが!」


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