29 おにいちゃん大っ嫌い、死ねよ。

 しかし、分からない。タイミングなのかも知れない。


 人間の心なんて、タイミングで変わってしまうものだ。


 災厄のタイミング。


 最高のタイミング。


 やはり、タイミングは大事だ。


 遅すぎては駄目で、早すぎる位がいいのだ。


 思った時その時に言わないと、始めないと駄目なのだ。


 その時の其れが正解、そう思った時瞬間に動かないといけないのであるそう言った直感の様なものは殆ど当たる。こういった直感は、大事だ。


 家の悪口を言っても、誰もこんな小さな家に興味はないし、どうこうしてたすけようとも思わないだろう。


 僕の御爺さんは、右手に鉄パイプを持っていた。


 血のべっとりと就いた、歪な鉄パイプを持っていた、憎たらしい様子で、僕を叩きつけた。


 僕は流血して死んだ。


 御爺さんは言っていた。


 「けっ。この簿かな孫を持ったものだ。」


 儂は、この孫が許せない、儂のこのと散々バカにして、見下してけなしおって、儂の大事な妻の事迄愚弄して、家を燃やして、儂の事迄殺そうとした、クソ餓鬼じゃ、儂は、断じてこの儂の息子を許さないし、こうしてこのパイルで殺してやったわい、年長者に舐めた口をきいているからこうなる、愚かな孫じゃ、いや、こんな奴孫でもないわい、、何処かな知らない糞生意気な小生意気な餓鬼を、儂がとっちめてやったというだけじゃy。


 「困った孫だ。」


 さて、この遺体を如何したもの、かと、一輪車を引いてきて、其の荷台に、緑のゴミ袋に入った、この若い二十台前半の男の遺体を、いれ、其れを更に、発泡スチロールの中に入れたものを積み、山に、近くの山にほかしに行きました。


 「かわいい孫じゃった。」


 今、思えば、可愛い容姿の孫であった。


 如何して孫を殺したのか。


 耐えられなかったのだ。


 あの餓鬼私達を殺すつもりでいた。


 殺される前に殺しておかないと大変な事になる。


 もう家を儂の家をめちゃめちゃにされるのは懲り懲りじゃった。


 「此れで、この家も終わりじゃ。」


 期待していた孫がこうなっては、もうこの家に未来などない。


 還って、ワインで飲もう。


 もう、終わったのだ。


 一族は。


 「恐ろしい奴じゃった。」 


 部屋から一歩も出ずに、やせ細り、肉を食わず、菜食主義だとかいって肉を食わず、うんこを部屋で済ませて、部屋からは便の臭いがムンムンと立ち込めていた。


 「暴力団に御金を借り追って。」


 そして、莫大な借金をしおった。


 その借金は儂が肩代わりすることになった。


 儂はこうして全財産を失ったのだ。


 若い頃に懸命に働いて稼いだ、この御金は、訳の分からない研究の為の費用だとかで、もう完全になくなったのだ。


 「妻も子供もこの男の殺された。」


 儂は、もう家族を全て失った、


 孫のせいで失った。アレだけ可愛がり、良くした孫が、こんな騒動を起こしてくれるとは想定外だった。


 「儂は、世界の支配者となる。」


 唐突に其の老人は告げた。


 「儂は、総理大臣になるんじゃ。」


 もはや、正気を失った人間が、譫言を言うように、話す様に其の御爺さん叫んでいた。


 此れがこの男の、隠していた本心、野望なのだろう。


 何て、強欲で醜い人間なのだろう。


 普段はこういった、野心をむき出しにはしていない物の、この年に成ってもその性情は抑えきれていないらしい。


 「儂はああなああ。この国を良くしたいんじゃあ!!!。」


 酔っぱらった様に、国の将来だとか、政策だとか、予算だとか、そういった政治の話や議会の話、をし始めた。


 どうやら、この男は国を変えたいらしい。


 話を聞くところによると、もう其れは大層な構想をヴィジョンを持っていた。

 「具体的な事も、考えてあるんじゃ。」


 といった。


 此れが、この男の実態。


 家族よりも仕事が大切。


 死ぬ前に、政治がしたし。


 政治にかかわりたい。


 国政に関わりたい。


 最期のその時まで、国の事を考えて居た。


 もう其れは脅威だった。


 あの政治家は駄目だとか、この政治家は評価できるとか品定めを、していた、批評していた、公園を聞きに行った、ずっと聞いていた。


 質問していた。


 議論していた。


 討論の好きな爺だった。


 大抵、この爺さんは最後は暴力沙汰に成っていた。


 危険な自分と反対の思想の待ち主と、夜中まで議論して殴り合った。


 刎頸の交わりの様な、人間が何人かいた。


 味方も多かったし、敵も多かった。


 しかし、彼を苦しめたのは、自身の孫であった。


 散々に儂をてこずらせた。


 家族を奪い、家を焼き払い、暴力団に金を借り、もう散々な孫だった。


 「殺してやったわい。」


 しかし、其の殺して、山の麓の土に埋めていた時、丁度埋め終わったその時、背後から、反対勢力の男のスパイと思われる、アサシンにぐさりと背中から心臓を刺されて、ぐったりと倒れ込んだ。


 「けっ。あっけない、爺さんだぜ。」


 仮面を取った其の男は、孫の金色 闇だった。


 「なっ。貴様!!!。」


 そう。


 この爺さんが殺したのは、人形。


 私の姿容を模して創った偽物の、ラジコン。


 遠方から操作していたのだ。そして、奴が殺したと理解して、埋める頃合いを見計らって、不意打ちで殺す算段だったのだ。


 「残念だったなあ。まさかあんたが、そんな野望を未だ捨ててなかったなんてなあ。」


 「爺さんよおお。」


 もう、其の遺体は動かなくなった。


 「んだよ。もう、くたばっちまったのかあ。」


 おいおい。


 と、遺体を足で蹴って転がしています。


 「お兄ちゃん?。」


 背後で妹の、金色 篇銀が見て居ました。


 「お兄ちゃん。酷いよおにいちゃん。」


 妹の篇銀は、怒っていました。


 「家族を殺していたのは、お兄ちゃんだったの?。何となく気づいては居たけれど、信じたくなかった、見たくなかったんだよお兄ちゃん!!!。」


 妹は、涙していた。


 母親も、父親も、祖父母も、兄弟姉妹も、それらを皆殺しにしていたのが、最愛の兄だったのだ。


 「九九九。どうだい我が妹よ。」


 「私、あんたなんかの妹じゃない。あんた何て嫌いよ。」


 「連れないなあ。昔は一緒に・・・。」


 と次の瞬間、闇の頭が首から吹っ飛んだ。


 「え?。お兄ちゃん?。」


 「大丈夫かあ?篇銀。」


とやって来たのは、私の、彼氏の見聞 ミミズクだった。


 「ああ。ミミズクさん。」


 「まさか、篇銀ちゃんの、お兄さんがあんな逝かれた狂気じみた人だったなんてね。付いてきて正解だったよ。


 ミミズクはそういった。


 「此れで、君は家族からの呪縛から解放されたわけだ。」


 「そうな。もう私に還る場所は無いわ。」


 「其れだったら家に来ない。結婚を前提に同居でもしませんか?。」


 まさかの此処で、衝撃のプロポーズを受けて終った。


 「いやああ。遊びのつもりだったのでごめんなさい。」


 男は、憎しみのあまり怒り狂って。


 「僕がああ、助けてやったんだぞおおお。お前は僕が居なきゃあああなにもできないんだあああ。」


 と、メルヘンを発動して手に負えなくなってしまいました。


 ああ、面倒臭い男と付き合ってしまったものだ、如何したものか、さっさと別れたい。


 「分かったから。わかった。から。」


 男は、次の瞬間、背後から車にはねられて死んだ。


 「ぎゅうううううういいいいいんんんn!!!!!。」


 其の音で


、引きずり込まれて、血だらけに、なって死んだ。


 「私のもう一人の密約者。」


 そう、このドライバーは、私のもう一人のお兄ちゃん。


 私の理想が生んだもうもう一つのお兄ちゃん。


 理想のお兄ちゃん。困った時に助けに来てくれる私の理想の望むお兄ちゃん。


 「助けに来たよ。我が最愛の妹よ。」


 「きめえんだよ。かっこつけやがって。」


 「ひっどい物言いだな。」


 そう。


 此れが、私のお兄ちゃん。


 三歳年上の、もう一人のお兄ちゃん。


 二歳年上のお兄ちゃんは、私が殺した。


 この、お兄ちゃんは、私が、お兄ちゃんの、肉を使って、改造した、理想のお兄ちゃん。


 「お兄ちゃん!大っ嫌い!!!。」


 「死ねよ。」


 ニコニコ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る