第2章 三人協力、パワー全開!
第13話 『魔女』たちの夜、女子会1
――マルガレッタ6月号
『君と過ごした終末』最終回
俺たちは街を
目を
だが崩壊はこのセカイに
そう。俺とハルが幸せに生きる『
俺はハルの
「なあ、ハル。生まれ変わったら何になりたい?」
「アキラ……、人間は生まれ変わることなどない。死ねば燃やされ灰になって消えていくだけだ」
「だから例えばの話だろ。消えてなくなる、そんなことはアホの俺でも分かっているさ」
最初から最後まで冗談の通じないヤツだった。おっとまだ過去形にはできないが、もう少しで過去も未来も崩壊して無くなるのだから細かい話はどうでも良いことだな。
「もし……、もしもの話だ。生まれ変わることができないとしても、並列する別のセカイに移ることができるのならば……」
「移るなら?」
俺の問いかけに顔を
「そのセカイでお前を探し、出会い、そして
おい、アキラよ。ワタシにこれだけ云わせれば満足か?」
「悪くないよ、ハル」
ハルは照れ隠して顔を見られないように俺の肩に頭を乗せてきた。ハルの肩に手を回すと優しく引き寄せる。
そんな
「もしもの話の続きだけど」
「……うん」
「君の寿命があと少し保つのだったら『
「それならば寿命の終わりが見えるまでお前と一緒に過ごしたさ」
「そうか……」
高校の入学式、ハルとアキラが始めて出会い、
二人して同じ捨て猫を育てていたことが分かった日。
土砂降りの雨に流されて猫がいなくなったことに気付いた日。
バイクにタンデムして海まで行って叫んで
付き合い始めて知った幸せな日々。
そしてハルの寿命を知らされた日……
そして俺は運命に
――夕食後、
「……優ちゃん、
「ダメだ、智優ちゃんの反応が無い」
「まあ、楽しくて夢中なんだろうからそっとしておこうよ」
「そうだね〜。あ、きのこの山、食べる?」
「うんうん、食べる〜」
先ほどからマンガに夢中で周りの音が耳に入ってこない
◇◇◇
M
野伊間詩芙音の父親、
翔北市はニュータウンが広がる人気の街だが新しい家が建ち並ぶ反面、
重陽が苦労して見つけたのが市街の外れにある古い屋敷。1家族が住むには広すぎる庭。一人一部屋を割り当てても余るほどの部屋数。一般家庭には不釣り合いな
何も知らないはずの父親が借りた家は、
――金曜日の放課後、日が落ちかけた夕方
今晩は野伊間家に集合して念願だった女子会のお泊りの日。
ぴんぽん、ぴんぽん、ぴんぽーーーん
「智優ちゃん、一回押せば伝わると思うよ。
「えー、家が大きいから聞こえづらいんじゃないかと思って」
「家が大きいからって何回も鳴らせば聞こえるものじゃないでしょ??」
「な、何だか栞ちゃん、お姉ちゃんみたい!うちの兄貴を返品して栞ちゃんと交換したい!」
「もー、
栞に文句を云われて表現の
「はーい、ようこそだよ〜」
「詩芙音ちゃん、ハンパ無いでかさの家だね!」
「もう智優ちゃん、言葉がダメダメだよー。ゴメンね、詩芙音ちゃん。智優ちゃん、悪気はないの……」
「いいのいいの、(一心同体で)知ってるから大丈夫!さあ、入って〜」
「ん、あれれ??」
玄関の扉をくぐると小ぢんまりしたエントランスが迎えてくれる。正面には幅の広い階段、右手にはリビング&ダイニング、左手にはバス&ランドリー。日本のサイズに合わせているためか、一つ一つの部屋はそれほど大きくは無いが、それでも一般的な家庭の家とは比べ物にならないほどの広さを感じる空間だった。
「詩芙音ちゃん、家!すご!すごー!!」
「
驚きのあまり目を丸くして口が開きっぱなしの智優と
「今晩、お父さんは帰らないから存分に夜更しできるよ」
二階に上がり詩芙音の部屋にお邪魔する二人。部屋の中にいた黒猫ロムが歓迎するかのようにナーナーと鳴いていた。
(よく来たの、ボンヤリ王子と姫様よ!)
「ボンヤリしてない!!」
「え、急にどうしたの?智優ちゃん??」
「いや、いま失礼なことを云われた気がして」
「やだな、誰も何も云ってないよー」
「そ、そうなんだけどさ。あの黒猫がね……」
(反応だけは一人前だの。くっくっく!)
黒猫と
「ほら、黒猫さんと遊んでないで夕飯の準備しようよ、智優ちゃん」
「わー、それ!美味しそうな香り!!」
「今晩は鈴偶家と神崎家のおかずフルコースだよ!」
お互いの家から運んできた重箱を持って1階のリビング&ダイニングに降り、テーブルに夕飯のおかずを広げる栞と智優。その間、取り皿やコップの準備をする詩芙音。
おかずが並んでご飯を盛り付けたら準備万端!
両手を合わせて、せーの!
「「「いただきまーす」」」
「私、あんまり
「いいのいいの、詩芙音ちゃん。沢山食べる人ならココにいるから」
「むぐむぐ!!」
「ほら、一気に食べると
口一杯に鳥の唐揚げとご飯を詰め込んだ智優の顔がみるみるうちに青くなる。息ができないくらい詰め込んで
ヤンチャ坊主のお世話をするように水を
普段は広い家で一人寂しく食べる夕飯も三人が
新作グリモワールの次ページが創出される日は近い……
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