第5話:デュラハン登場

■場所:祐子の自宅■

夜7時ごろ、居間でTVを見ながら、くつろぐ祐子


祐子「(今日は散々だったな。結局、誰もクラブの人に捕まることなく逃げてきたけど。それにしても魔王はどこに居るんだろう)」


祐子「(そして、あの後、ミリューと佐和子さん、野宿するからって、渋谷のセンター街あたりで段ボール漁りしてたし。それにしても、段ボールハウスで生活する魔法少女って一体…)」


TVのアナウンサー「今、入った速報です。東京新宿区の都庁に何者かが立てこもっております。その男はデュラハンと名乗り、都知事に会わせろと要求している模様。現在、警察が付近を封鎖しております。繰り返します…」


祐子「(ええっ!? デュラハンって確か“魔界四天王”の一人じゃあ…? これは急いで行かなくては! 吉祥寺から新宿まで約15分。そして、渋谷にいるミリューと佐和子さんはこの騒ぎを知っているのだろうか? ともかく、新宿に向かおう)」




■場所:都庁■


祐子「はあはあ…」


ミリュー「祐子も来たのですね」


祐子「ニュース速報で見たので、慌てて来たよ。あなたたちは、どこでこれを知ったの?」


佐和子「渋谷スクランブル交差点のヴィジョンで流れてたし」


祐子「そうなんですね」


ミリュー「今度は、魔界四天王のデュラハンで間違い無いでしょう」


祐子「警官隊が都庁の周りを取り囲んでますね。そして、その後ろの野次馬も結構いる」


佐和子「あんなの突破するし」


祐子「どうやって?!」


佐和子「アタシが稲妻魔法で全員気絶させるから、その後、都庁に突撃するし」


ミリュー「それで行きましょう!」


祐子「大丈夫かなぁ」


ミリュー「じゃあ、みんな魔法少女に変身よ!」


祐子、ミリュー、佐和子「“パトピラプンペフォポムール”!」


(SE:変身してるっぽいSE)


佐和子「じゃあ、行くよ! 稲妻を食らえ!」


(SE:雷の落ちる音)


佐和子「警官隊と野次馬は気絶したし! 今のうちだし!」


ミリュー「行こう!」


(SE:駆ける足音)


ミリュー「デュラハン! 大人しくしろ!」


祐子「何なの!? この人、首が無いよ!」


ミリュー「自分の頭は、手に持っているのよ」


祐子「うえっ…、キモイ…」


デュラハン「誰かと思えば、ミリューじゃないか。それにお仲間も…、お前たちは始めて見る顔だな」


ミリュー「なぜ、こんなことをする?!」


デュラハン「この街のリーダーは“トチジ”と言うらしいじゃないか、そいつを捕まえて言うことを聞かせれば、この街を支配下に出来るからさ」


ミリュー「そんなことはさせない!」


佐和子「お前は、ここで私たちに倒されるし。諦めるし」


デュラハン「やってみろ!」


(SE:剣を振りかざす音。剣が地面を叩き付ける音)


ミリュー「危ない!」


祐子「床が衝撃で割れた!」


ミリュー「衝撃に当たっただけでも相当なダメージを受けるから気を付けて!」


祐子「わかった!」


ミリュー「私たちも攻撃よ! 炎の嵐!」


(SE:炎)


祐子「“エクスペクト・パトローナム”!」


(SE:氷)


佐和子「食らえ稲妻!」


(SE:稲妻)


デュラハン「ハッハッハッ、その程度の攻撃ではなんともないわ。こっちも行くぞ!」


(SE:剣を振りかざす音。剣が地面を叩き付ける音)


ミリュー「危ない! あいつの鎧が魔法を通さないわ!」


祐子「本当にあいつを倒せるの?」


佐和子「良い手を思いついたし。祐子、足、早い?」


祐子「陸上部だから、それなりに」


佐和子「よし! 二人で奴の注意を引いて」


祐子、ミリュー「わかった」


(SE:炎)

(SE:氷)

(SE:剣を振りかざす音。地面を叩き付ける音)


デュラハン「おのれ、ちょこまかと」


佐和子「今だし!」


デュラハン「あっ! 何をする!」


佐和子「ダッセー。頭を奪ってやったし」


デュラハン「返せ!」


佐和子「祐子、パス!」


祐子「ええっ?! キモイ…」


佐和子「いいから、頭をどこか遠くに持っていっちゃいなし! 胴体はアタシらが食い止めるし!」


祐子「えっ?! わかった!」


(SE:駆ける足音)


デュラハン「返せー! 戻せー!」


祐子「(この首をずっと遠くに…、そうだ!)」




■場所:新宿駅■


ホームアナウンス「20時ちょうど発、特急かいじ53号、松本行き、間もなく発車しまーす」


(SE:発車サイン音)


祐子「じゃあ、サヨウナラ!」


デュラハン「何をするっ!!」


(SE:扉の閉まる音、かいじ号の警笛の音)


祐子「これで一安心ね」


祐子「(そう言えば、“8時ちょうどのあずさ2号で~♪”という懐メロがあったような。まあ、今は夜の8時で、かいじ53号だけど)」




■場所:都庁■


祐子「はあはあ…、デュラハンの頭は松本行きの特急列車に乗って行ったわ」


佐和子「やったねー!」


祐子「あれ? デュラハンの胴体は?」


ミリュー「どこかに走っていったわ」


佐和子「多分、頭を追っかけて行ったし」


ミリュー「これで、デュラハンは倒したわね」


祐子「でも、頭と胴体が合流したら、戻ってくるんじゃあ?」


ミリュー「胴体には頭の行先が分かってないし、当面は帰ってこないでしょう」


祐子「でも、首無しの胴体がうろついていたら、騒ぎになるんじゃあ?」


佐和子「特急に乗った、生首もでしょ?」


祐子「そうでした」


ミリュー「今日のところは大成功ね。四天王はまだ3人残っているから、油断せずに過ごしましょう」


佐和子「四天王、結構ちょろいし。残りも楽勝じゃね?」


祐子「残りの3人、いつ来るのかなー?」


ミリュー「わかりませんが、今日のところはこれで解散しましょう。私と佐和子は新宿で野宿するわ」


佐和子「シンジュク、ノジュク、YO-YO」


祐子「帰ろ」

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