第4話:パリピ魔王登場

■場所:渋谷のとあるクラブの前■


佐和子「いやー。良く寝たし」


祐子「あんなところで良く寝れますね」


佐和子「いつも、ああしているから、慣れたし」


祐子「いつも?!」


祐子「(佐和子さんって家出少女なのでは?)」


ミリュー「さわッチ、魔王と戦う前に説明させてください。魔法少女に変身する時は、呪文“パトピラプンペフォポムール”と唱えてください。あと、この魔法のスティックもあげます。あなたは稲妻の魔法が使えます。ちなみに変身後の衣装は緑色です」


佐和子「りょうかーい。って、言ってる間に着いたし」


ミリュー「ここがクラブですか?」


佐和子「そうそう。じゃあ、入るよ」


(SE:扉を開ける音)




■場所:渋谷のとあるクラブの中■


(SE:EDM)


ミリュー「うるさい! すごい音! さすが黒魔術の儀式の最中だわ」


祐子「人もいっぱい。通勤ラッシュみたい!」


佐和子「来たよ! 多分、あれが魔王だし」


パリピ魔王「お次のDJはオレ! タカヒロ a.k.a.“魔王”だ! パリピのみんな、盛り上がって行こう!!」


ミリュー「なんか顔が違う」


佐和子「きっと、変身しているんだよ」


祐子「いや、あれは般若のお面じゃあ?!」


佐和子「“パトピラプンペフォポムール”!」


(SE:変身のそれっぽいSE)


佐和子「魔王! 覚悟!」


祐子「ちょっと待って!!」


(SE:稲妻の音)


ミリュー「真っ暗になった!」


祐子「きっと電気がショートして、ブレーカーが落ちたのよ」


佐和子「とりあえず、魔王を仕留めたから、外へ引きずり出そう」




■場所:渋谷のとあるクラブ近くの裏路地■


佐和子「ふう…。暗闇の中、何とか、ここまで引きずり出せたし」


ミリュー「この人、魔王ではないのでは?」


祐子「ほら、般若のお面をつけているだけですよ」


ミリュー「ハンニャって?」


祐子「能で使うお面のことよ」


ミリュー「ノウ?」


祐子「日本の伝統芸能よ」


ミリュー「そのハンニャのお面をつけた奴が、何故、“魔王”と名乗っていたのかしら?」


祐子「知らないよ。なんとなく、それっぽいからでは?」


ミリュー「ともかく、この人は私たちが探している魔王ではないということですよ」


祐子「ええ、どうみても普通の人間です」


佐和子「早とちりしたし。悪りぃ」


祐子「まさか、死んだの?」


佐和子「いや、気絶しているだけだし。スティックを麻痺にセットしてたし」


祐子「そんなことできるの?!」


佐和子「それより、早くここから離れた方がいいし」


祐子「どうしてです?」


佐和子「さっきの稲妻魔法でDJ機材とかスピーカーとかがショートして壊れてるはずだし。捕まると賠償金取られるかもだし」


祐子「それっていくらぐらい?」


佐和子「機材は高いからね。数百万円か、下手すると数千万円」


祐子「ええっ!?」


佐和子「そんなわけで逃げろし!」


(SE:駆ける足音)


祐子「(よく考えたら、やったのは佐和子さんだから、私は逃げる必要ないのでは?)」

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