第3話:黒ギャル登場

■場所:渋谷■


ミリュー「祐子さんが貸してくれた服、ピッタリです」


祐子「背丈がほとんど同じだから、よかったね」


ミリュー「それにしても、電車って早いねー。びっくりした」


祐子「そっちの世界には電車は無いの?」


ミリュー「ないです。馬車ぐらい」


祐子「そうなんだ。文明がそんなに発達してないのね」


ミリュー「代わりに魔法があります」


祐子「確かに、魔法があったら便利かもしれない」


ミリュー「それにしても、ここは人が多いですね」


祐子「渋谷だからね。“人の多いところ”って、ミリューが言ったから」


ミリュー「おおっ!!」


祐子「どうしたの?」


ミリュー「早速、魔法少女候補の気配がします!」


祐子「どこ?!」


ミリュー「こっちです!」


(SE:駆ける足音)


ミリュー「この辺です…。ところでこの犬の像は、なんですか?」


祐子「ハチ公だよ」


ミリュー「ハチコウ?」


祐子「そうそう。死んだご主人様を待ち続けた忠犬」


ミリュー「ふーん。撫でてみよう」


祐子「それより、魔法少女候補!」


ミリュー「そうでした。忘れるところでした」


祐子「ここに来た目的を忘れないで」


ミリュー「気配はこちらの方から…。居た!」


祐子「え? この人?」


ミリュー「ベンチに座って寝てますね」


祐子「本当にこの人が魔法少女候補なの? どう見ても黒ギャル…」


ミリュー「起こしてみましょう」


祐子「止めといたほうが…」


ミリュー「もしもし、すみません」


佐和子「もう食べれないし…、むにゃむにゃ」


ミリュー「もしもし!」


佐和子「はっ…! あ? 何? あんた誰? 折角、いい夢見てたのに起こすとか、何様?」


ミリュー「私は魔法少女ミリュー!」


佐和子「は? 厨二はどっか行きな」


ミリュー「年齢的には中学3年です」


佐和子「は? なめてんの?」


ミリュー「なめてません! あなたに魔法少女になってほしくて!」


佐和子「厨二はどっか行けって言ってんの!」


ミリュー「中二じゃありませんって! このブレスレッドをあげますから、仲間になってください!」


佐和子「え…? 結構、高そうなブレスレッドじゃね? これマジにくれるの?」


ミリュー「はい! 本当は私の相方の一人の魔法少女グーチェの物なんですが、あげます! だから仲間になってください!」


佐和子「仲間になるって、友達になるってこと?」


ミリュー「一緒に魔王を退治するのです!」


佐和子「ふーん…。いいよー」


(SE:ブレスレッドを付ける音)


ミリュー「ありがとうございます! 私の名前はミリュー。こちらは祐子」


佐和子「アタシは、佐和子。“さわッチ”でいいよ」


ミリュー「さわッチ、これから、よろしくお願いします」


佐和子「ところで、アタシ、魔王の居所知ってるし」


ミリュー「ええっ! 本当ですか?!」


佐和子「マジ、マジ。噂で聞いたけど、クラブに来るって」


ミリュー「クラブって何ですか?」


佐和子「音楽に合わせて踊ったりするところだし」


ミリュー「なるほど、魔王が黒魔術の儀式をするところですね」


祐子「それは違うのでは…? それと、クラブって20歳未満は入場できないはずでは?」


佐和子「今日、魔王が来るのはデイイベントだから、年齢制限ないし」


祐子「そうなんですね」


佐和子「魔王は16時に登場予定だから、それまではアタシは寝てるし」


祐子「ここで寝るの!?」


佐和子「スヤスヤ…」


祐子「もう寝ちゃった…」


ミリュー「私たちも16時まで時間をつぶそう」


祐子「そうしようか…」

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