第2話:異世界の事情

■場所:祐子の自宅・祐子の部屋■


(SE:ドアを開ける音)


ミリュー「いやー、お風呂っていいねぇ。着替えもありがとう。ご飯も美味しかったし、この世界もなかなか良いね」


祐子「うちに泊めるの今日だけだからね。今日は親に友達が泊まるって言ってあるけど、毎日は無理だから」


ミリュー「仕方ないですね。今日だけでもありがたいです。明日の夜からは、また野宿することにします」


祐子「こっちに来てからは、ずっと野宿してたの?」


ミリュー「そうです。こちらの世界のお金を持っていないから、食料も買えなくて大変でした」


祐子「それで行き倒れたのね…」


ミリュー「でも、早く魔王を探し出さないと、また行き倒れてしまう」


祐子「魔王の居所の当てはあるの?」


ミリュー「いいえ、全く無いのです」


祐子「困ったわね」


ミリュー「でも、魔王たちはこの世界を征服しようと動き出すでしょう。その時には姿を現すはず、その時がチャンスです」


祐子「それは、いつになるかわからないのでしょ?」


ミリュー「わかりません。それに、魔王が現れるまでに、もう一人仲間を見つけないとだめなのです。なので、急いだほうがいいでしょう」


祐子「それは何故?」


ミリュー「魔王を倒すための必殺魔法は3人一緒でないと発動できないのです」


祐子「そうなんだ…。魔法少女になるのは誰でもいいの?」


ミリュー「誰でも良いというわけではありません。魔法少女になれる素質のある人でないと」


祐子「そう言えば、私に“素質がある”って言ってたね」


ミリュー「私にはそれを感じ取ることができます。しかし、こちらの世界では、素質のある人は、ほとんどいないようです」


祐子「あと、“魔王たち”って言っていたけど、魔王以外にもいるの?」


ミリュー「魔王軍の幹部、魔界四天王がいます」


祐子「魔界四天王?」


ミリュー「デュラハン、サキュバス、ヴァンパイア、メデューサです」


祐子「なんか強そう」


ミリュー「強いです」


祐子「本当に3人で倒せるの?」


ミリュー「多分、大丈夫です」


祐子「多分って…」


ミリュー「とにかく、一刻も早く、もう一人仲間を見つけないと。魔王が現れた時に対処できません。明日は朝から街へ出かけて仲間を探すことにしましょう」


祐子「頑張ってね」


ミリュー「え? 祐子さんも一緒に行ってくれないのですか? 私は、お金がないから“電車”というものにも乗れないのです」


祐子「しょうがないなあ。まあ、明日は日曜日だし、予定も無いから付き合ってあげるよ。電車代も貸してあげる」


ミリュー「ありがとう。助かります。行くのは人の多いところが良いです」


祐子「じゃあ、渋谷に行きましょう。井の頭線で一本だし」


ミリュー「任せます」


祐子「明日に備えて、もう寝ましょう」


ミリュー「おやすみなさい」


祐子「おやすみ」


祐子「(どうなることやら…)」

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