第2話 机の異世界召喚

「おー。成功したか?」

「はい...そのようですが...」

まだ、何が起こったのか、状況理解が追いついていない人々の声が部屋中に響いていた。床がフカフカで、立ち心地がとても良い。さっきまでいた、あの部屋のコンクリートの床に比べたらずっといい。さらに、ここには暖房が効いているかのように暖かい。あの、暖房の代わりに冷房が付いているかのような、寒い部屋とは比べるのが可哀想なほどに気持ち良い。しかし、ほぼ24時間ずっと聞こえていた、元気だが疲れ果てている男の子の叫び声や慌てる声が聞こえないのは少し・・・いや、かなり寂しい。そんな声の代わりに、状況理解が追いつかないで、何をしていいのかがわからない声が、何故か妙に腹が立ってくるような声が響いている。二分経っても収まる気がしない。次の瞬間、ガタン!と、まるで叫んだかのような大きな音を立てて机が崩れ落ちた。その場にはしばらくの静寂が続き、ようやくこの部屋の中で一番偉いと思わせる、風格の強い老人が口を開いた。

「汝、この世を統べる者。汝、この世を崩壊せし者。異界より呼び降りた者は、必ず皆崩壊の道を辿るだろう。」

場がシーンと静まり返った。所々でざわつきが起こる。

「おい、本当にこれが」

「静かにしろ、国王様の御前だぞ」

「ごほん、汝が異世界より召喚されし勇者の眷属か」

国王が口を開いた。

「では、只今より神器作成の儀を開始する。はよ準備せいっ」

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