第42話
ゴンジュ先輩こと、ゴンジュ・メケウルスさんは、イザーク兄様も知らないうちに、ご結婚されて、ゴンジュ・クルニスさんになったそうだ。婿入りってやつだな。
「まぁ、やぁねぇ、この人、あちらの知り合いに何もお伝えしてなかったの?」
「……そんな暇はなかっただろう」
げっそりとした顔のゴンジュさんの隣に座っている美少女が、その奥様、ということらしい。
私たちが素材の話をしようとしたところで、奥さんがお茶を持って入ってきたのだ。
「年齢差、いくつよ」
「……20才だって」
「犯罪じゃないの」
「それをいったら、イザークにっ……ゲフンゲフン」
双子たちの会話はおいといて。
ゴンジュ先輩38才、奥様のブリギッタさんは18才なのだとか。
ゴンジュ先輩はドワーフと人とのハーフらしい。一方のブリギッタさんは、地元出身らしく、エルフの血が混ざっているのだとか。まさに、スーパーモデル体型。凸凹コンビ、蚤の夫婦。
この商会はブリギッタさんの実家らしく、ゴンジュ先輩の魔道具の腕前の噂を聞いてレヴィエスタ王国まで会いに行ったらしい。ブリギッタさんが。
まさかの海を越えてまで、とか思うとびっくりである。
ゴンジュ先輩も、最初は悪い冗談だと思っていたらしい。それが、あれよあれよと、押しまくられ、ついには、エノクーラにお婿さんに来ちゃった、そうだ。
「……まぁ、お幸せなら、何よりですよ」
「うふふ、ありがとうございます」
嬉しそうに笑っているのは奥さんの方。尻に敷かれてるくらいが、ちょうどいいんじゃないか、と、2人を見て思う。
そして、ようやく話を続けられる。
「それで、材料についてなんですけど」
「仕方ない。ブリギッタ、これの清書を頼む」
「あらあら。これじゃ、読めないわよね」
ゴンジュさんから渡されたメモを見て、クスクス笑うブリギッタさん。あれを翻訳できるのか、と思ったら、凄い尊敬。
サラサラサラ~っと、書き連なる素材の数々。これだけあれば、確かにメモいっぱいに書くことになりそうだ。それにしても、よく、あの字を読めるものだ。
「はい。これで全部ですね……もしかして、これは複写の魔道具の素材かしら」
「そうです。よくおわかりで」
「フフフ、これでも魔道具師の嫁ですからね」
それで覚えられるって、どんだけ惚れ込んでるのやら。
パメラ姉様がメモを見ながら、ニヤニヤしだした。悪い予感がするんだけど。
「半分くらいは買うことが出来そうな素材だけど、残りは自力で取りに行かないと難しいかしら」
「それって」
「ダンジョンよ!」
やっぱり。
パメラ姉様、すんごい嬉しそう。
「特に、鉱物だったら、ここに新しくできたっていうダンジョンに行ってみてもいいんじゃない?」
「それこそ、冒険者がギルドで売ってたりするんじゃないの?」
「でも、自分で採ってくればタダだし」
「ていうか、ダンジョン行きたいだけだよね」
私の白い目にも、へこたれないパメラ姉様。
結局、ここでもダンジョンに行くことになるのであった。はぁ。
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