第27話
登録を終えて、お宝をしっかりゲットしてから、ダンジョンを出たら、たくさんの人が集まっていた。私たちの姿を見た途端、凄い歓声があがり、思わず、耳を抑えてしまった。
「あの、もしや、ダンジョンをクリアされたのは」
ダンジョンの入場の管理をしている冒険者ギルドの職員が、声をかけてきた。
「そうよ。わたっ」
ウオォォォォォッ!
パメラ姉様が言い終える前に、さっきよりも大きな歓声が響く。
おいおい、なんか押し寄せて来てないか!? 辛うじて他のギルド職員らしき人達が、ガードしてるっぽいけど。
「あ、あのっ、では、管理室の方へいらしていただけますかっ!」
職員も必死で声を張り上げるので、私たちは頷くとすぐに彼の後を追いかけた。
管理室では、一応、ダンジョン攻略に関する情報提供を求められて、双子たちがメインで話をしていた。その間、私は周囲を観察中。
そもそも、小さな管理室。今はギルド職員だけしかいないようで、外の窓からたくさんの人が覗き込んでいる。気になるのはわかるけど、そんなに耳をくっつけようとも、聞こえるとは思えないんだけどねぇ。
私は目の前に座っている中年女性に目を向ける。たぶん、この管理室では彼女が一番偉いのだろう。
「なんですって。極寒のフロアだけではなく、砂漠や火山、海、空中城まであるなんてっ!」
あ、この大声なら、外にも聞こえるか。
途端に、外ではどよめきがあがるし。
「ダンジョンの守護がブラックドラゴンだなんてっ!」
一々、声を張り上げないと気が済まないのだろうか。
どのみち、この情報は共有されるのだろうから、構わないのかもしれないけど、この女性職員、大丈夫なのかしら。
最終的に私たちがクリアしたのは、88階だったらしいのは、ダンジョンの入口に出来た石でわかったらしい。なんか中途半端な階数だな。
「ずっとお戻りにならないので、てっきり……」
「全滅したとでも、思ったの?」
「あ、いえ、そんなことは」
入場管理をしているからか、出てこない冒険者も多いのを知っているのだろう。心配で言ったのかもしれないけれど、疲れているパメラ姉様には悪手だ。
パメラ姉様、心外だわって顔、怖いよ。思い切り大きなため息ついてるし。
「ダンジョンに関する情報は、後でギルド本部の方に書面で送っておくわ。疲れているので、もういいかしら」
「あっ! あの、素材など、お売りいただけない…で、しょうか……」
「今は何があったかなんて、覚えてないわ。それも後でいいわよね」
「はいっ、はい、結構ですっ!」
女性職員の背後にいた別の男性職員が返事をした。
「ありがとう」
にっこり笑ったパメラ姉様に、男性職員、顔がだらしなくなっていた。
女性職員が男性職員を睨んでる。こわっ。
……お兄さん、気を付けてね。
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