第6話
それでも、わざわざ探して来てくれたことは、ありがたい。
「いらっしゃい。何か買っていってよ」
「じゃあ、この飲み物ちょうだい」
「はいはーい」
二人分のお金(1杯銅貨3枚なので銅貨6枚)をもらうと、木のコップにポーションの原液を入れて、『ウォーター』で水を入れて薄める。それを冷やしてくれるのは、水の精霊王。
『こんなものでいいかしら』
「うん、いい感じ、はい、どうぞ、パメラ姉様」
「……精霊王様使っちゃうあたり、さすがミーシャ。贅沢よねぇ」
双子には私の肩に乗っている水の精霊王様が見える。それは、あえて精霊王様が見えるようにしているから。他の人には見えないようにしているらしい。
「ん~、冷たくて美味しい~」
「……やだ、これ、ポーションじゃないの」
まさかのパメラ姉様にバレるとは。えへへ、と笑ってごまかすけれど、双子に同じ顔で呆れられた。
本当は炭酸でも入れて割ったら、もっと美味しくなるんだけど、こんな街中でやるものではない。何せ、炭酸水そのものが珍しいのだ。
「……それで、あの値段はちょっとどうかと思うんだけど」
「普通のポーションでも、この品質なら銀貨1枚は下らないだろ」
「いや、薄めてるし」
「美味しく飲めている時点で、十分おかしいって」
……私の努力の賜物だからね。
「それに、精霊王様に冷やしてもらってるじゃない。ありえないって」
「あははは……冷たい方が美味しいじゃない?」
笑ってごまかす私。
美味しい、は正義だ!
「まぁ、ミーシャだし?」
「そうね、ミーシャだし」
双子は苦笑いしながら、ジュースを飲み干すと、今度はブレスレットに目を向けた。ちょっと、自分としては力作だったりする。手先がそれほど器用ともいえないけれど、それなりの見た目にはなっているはずだ。それに、一応、こっそり効果付き。魔石の色に合わせて、ちょっと魔力の補助がつく程度だけど。
「おい、こだなところにいただか、ニコラス」
双子と一緒にブレスレットを見ていると、突然、男の声が聞こえた。
誰だ? と思ったら、ニコラスの腰のあたりから顔をのぞかせたおじさんがいた。身長は子供くらいしかない。私よりも完全に小さい……けど、顔は髭面のおじさんだ。
「小人?」
思わず言葉が漏れてしまった。なんか、昔、映画とかで出ていた、身体の小さな人を思い出したのだ。しかし、当人には聞こえてなかった模様。
「ボブ、よく見つけたられたな」
「あれ、メアリーは?」
完全に双子の知り合いだな。もしかして、この人が。
「小人族?」
「んあ? あんだ、嬢ちゃん?」
生まれて初めて、小人族を見た瞬間だった。
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