第11話 豪徳寺とかぼちゃの天ぷら

雨の日の朝、ケイは制服と化したジャケットの下にベストをプラスする。

傘をさしていてもジャケット表面が濡れてしまう。

会社についてしばらくはジャケットを脱いで乾燥させる時間が必要だからだ。


出勤してすぐの会話。

人が取材に来るライティング方法が再び人気になっている。

zoomやメールでの取材ができるのは取材慣れしている稀有なスポンサー。

ほとんどのスポンサー広告主は広告作成文を作ることを期待している。

ペラ一枚で完成する広告。

最近この広告の仕事が増えた。以前からの広告主が紹介をしてくれる。


ケイに仕事を依頼してくるのだが必ず会社の営業に報告している。

客の取り合いをしてはいけない。

そんなことで万が一訴訟になったら、カードの買い物枠アップができなくなる、らしい。


自分で仕事をするなら小田急線沿いはやめて山手線沿いで開拓すべきだとケイは考えている。


1人暮らし1人起業

メリット


時間管理が自己裁量

スポンサーを選べる


デメリット


収入が不安定

安定させるまでのパワーがかかる

経理税金計算発注代

弁護士代

提出書類代


まだデメリットが多い。


今日は老舗蕎麦屋が出してくれる

かぼちゃの天ぷら

なんといっても

天つゆの出汁がふくよか芳醇

かぼちゃのほこほことした歯触りにまわりつく「つゆ」との絶妙なハーモニー。

大地に大きく根を張り巨大な葉を広げて育ったかぼちゃと昆布とカツオの共演

自然界を舞台に共鳴する旨味。

かくしてケイは大自然の恵みに感謝しながら今日も仕事を終えた。





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