第10話 世田谷だいた 

だいた、だいたって、うるさいわい!

きっとケイはそんな下品な発想はしないと思う。

ある日のケイは女性専用マンションの企画書を読んでいた。

駅から距離がある。その立地は変えようがない。

駅前のフィットネスジムで汗を流して軽くなった足で帰宅する。

駅前でサクッと食事を済ませて帰宅する。

在宅ワークの女性をターゲット。

あ、この物件自分がピッタリかも。内装はシンプルでサニタリーが清潔。

ヨガマットを広げるスペースがあって日当たりが良い。

朝4時の空気が最高。

警備会社の監視カメラが作動中なのは心強い。

ケイはそろそろ自分で起業をしようと考えている。取材をして広告を作る。

アフリエイトしやすいようなネタを提供する。

経理や庶務は外注に依頼。年間1社120万契約が10社あれば採算がとれる。

100社になれば人を雇える。今の会社と同じではないか。

ライバル会社を作るのも気がひける。

ケイは自分で会社を行うのであれば、どんな感じが理想かを考える。

自分が出来ないことは外注に依頼する。

とすると現状とあまり変化はない。


世田谷代田にあるクッキー専門店にいる。生地にカボチャを練りこんだクッキーが好きだ。焼いたかぼちゃの味がする。素朴な甘みがとがった神経をまるめこむ。

ゴマを混ぜたものや、塩昆布を混ぜたものがある。

おばあちゃんの味と言って共感する人は、10名中1名程度だろうと考える。

カボチャにはナッツ系を混ぜたほうが良いとケイは思っているに違いない。

かぼちゃとバナナとマシュマロでできたクッキーもお勧めしたい。


けっきょく世田谷だいたい美味しいものがあれば、

どうでも良いとケイは考えているはずだ。



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