第9話 子供の頃から渋谷に住んでいる彼女

ケイの身辺では、chat GTPが出てきて仕事がなくなるのではないかと心配される。実際はそうではない。chat GTPの真偽の判明が人間にはできない

ボスは人とかかわるのが好きでこの小さなコミュニティーを構築したそうだ。20年ほど前にはペーパーだったが徐々にwebに変わり今はSNSになり動きを駆使してエッセンスを伝える媒体になっている。広告スポンサーは一時期減ったが、ふたたび増えてきた、理由は「独自表現を海外ユーザー」に向けて発信し続けているからだろう。都心にあった事務所は住宅地に変更。


 今日は、スキンケアの専門家の取材に出かけた。人によっては化粧をしない方が美しい人がいる。化粧をするとみな同じような顔になってしまう。ケイは人の顔と名前を一致させるのが難しく名前と特徴をイラストに描いている、一度ボスに見つかって大笑いされたことがある。

毎日かぶる仮面を変える。そんなにも、今の顔に飽きてしまうものだろうか。

ケイは2時間かけて化粧をする60代の女性の話を聞きながら考える。

年相応の肌だと思う。


表皮をはがしたり、焼いたり浸したりしてきただろうにしみやしわはない。しかし年齢は相応だと感じるのはヒトは動物だからであろう。年齢とともに戦闘力が減る。

女性が美しさを武器として戦うとするならば、ある年齢からその武器は劣化する。

武器を磨き続けても肌の層の新陳代謝は鈍化する。その時、あらゆる武器を捨て、一切戦わず静かに朽ちるままにするのか。戦略を立て別の世界で頭角をあげるべく戦うフィールドを変えるのか。

取材に行った先の60代の女性はフィールドを変えていた。しかし周囲のフィルターは変わらない。培ってきた美容に詳しく「美」を追求する女性という歴史。

彼女の次なるフィールドについての話が始まる。


パンプキンパイの美味しい店で。

種を除いたかぼちゃが丸ごとマッシュされている。

2人で1個のかぼちゃをたいらげたことになるらしい。

かぼちゃのほくほくとした食感の中にミンチ肉の塊。

ハンバーグをマッシュかぼちゃで包み込んでパイにしている。

表面は卵黄のコーティング

かぼちゃに濃厚なクリームの味がプラスされておりマイルドで美味。


かぼちゃの品種改良も進んで、もはやサツマイモではないかと思わせる糖度を含むものが出ているのだそうだ。

こくがある。

分厚いカーテンがおろされ店内は街中の喧騒とはしっかり隔離された。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る