平和のために大変なこと

バブみ道日丿宮組

お題:平和と墓 制限時間:15分

一家が崩壊してから、約五年が経過した。

「……」

 未だに亡くなった両親のお墓は荒らされてる。神社の人からの苦情も絶えない。

 死者が五十人もでたタワーマンション倒壊事故は、両親が加害者だと彼らが騒いでる。

 もちろん、証拠などない。

 低階層にいたから、そう言われてるだけだ。他の低階層住民も似たようなものだ。

 両親の残してくれた大量の遺産と、住宅保険。

 それによって、俺は働かなくてもよくなった。

 もっとも働きに出れば、世間体によって排除される。金持ちというのは、金である程度何でもする。

 ニュースに取り上げられたし、顔を知ってる人間は多いこともある。

 新しく引っ越した首都圏の家はセキュリティがきっちりしてるから、荒らされたことはない。毎週逮捕者がでるぐらいには、問題がない。

「そろそろおさまってくれればいいのにね」

「そうだね」

 付き添ってくれてるのは彼女。

 大学からの恋人で、事故騒動があっても側にい続けてくれた。

 彼女の両親も一応納得してくれてる。同棲はしてるが、未だに結婚はしてない。

「報告したいね。お腹の子も成長してきてるし」

「……うん」

 そんな状況であったのに、俺は彼女に中出しを連続でしてしまった。

 一つになりたい、もっと特別でありたいと、彼女がセクシーな下着やら、コスチュームでせまってきて、抑えがきかなくなった結果がこれだ。

「別にいいじゃない。私たち、もう三十過ぎるのよ? 籍を入れる機会ができたと思うべきよ」

 彼女はお腹を擦る。まだ膨らみはない。まだ判明してから二月しか経ってないのだから、当たり前。

「結婚していいのかな」

「結婚しないで、子どもを育てるの?」

「それは……」

 そうだろうけど。

「大丈夫よ。どんなことがあっても、私は離れないし、子どもだってすくすく育つ。それに弁護士さんが、嫌なお金持ちたちを排除してくれてってるでしょ」

 つきまとう金持ちは、弁護士を通して裁判までしてる。それでいくつかは解決した。

 でかいことは起きなくなった。

 だからこそ、平和になりつつあるのだが、

「今日もいっぱい愛してあげるから、元気だして」

「……うん」

 俺は彼女に頼りっきりかもしれない。

「じゃぁ、あそこのホテルにいこうか。新しくできたんだよね」

 そういう彼女に手を引かれ、俺たちはラブホテルへと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

平和のために大変なこと バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る