第11話 情報戦を勝てる初手鑑定スキルは強い
酒を飲み始めて数時間、お開きにするか。
「おい起きろ、そろそろ外出るぞ」
「うぅん……そうだな。……足がやべー」
潰れてないがかなりアルコール回ってるみたいだな。
私は奢ったせいであまり飲めなかったから意識も体もふらふらまではいってない。
「根城まで帰れるのか?」
「ゲフッ、余裕だぜー」
「……余裕じゃないだろ。あ、ごちそうさまでした」
「ありがとうございます。帰り道お気をつけて」
酒場を出てレイナに肩を貸しながら歩く。
「ほらしっかり歩け」
「うるせー、お前だってフラついてんじゃねーか?」
「気のせいだ。おっと吐きそうだったら言ってくれ」
「あ?んなダッセーことしねーから」
「はいはい。それであなたのお家はどこですか?」
一人で適当に飲んで適当に帰るつもりだったのに……あぁ。
てかちょっとね、貸した肩が重い。
レイナさん腕はまぁたくましい程度だが足がバキバキで筋肉がすごいな。
「んん……オレんちか?あー、村だから遠いぞー?」
「実家のことじゃない。寝泊まりしてるところのことだ」
「あー、それなら遠くねぇな。いくぞー」
ゆらゆらと歩くこと半刻、やっとついた。
「着いたぞ……ここがオレの、姉妹の家だ」
……あー、はいはい、家ね。
2階建ての一軒家、素晴らしいじゃないか。
「ここでいいんだな?家には誰かいるなら介抱してもらってほしいんだが」
まだ宿屋開いてるかな?
営業終了していたら最悪金だけ取られて野宿になる。
「……なぁ」
「レイナ?」
「なんつーか……悪いな」
「大丈夫だ、宿屋がまだやってるかが心配だけど」
実際酒を飲んで話せる相手がいたんだ、悪くない。
「……ほんとにありがとな」
「気にするなよ、それじゃ」
「あぁ……またな」
レイナが家に入るのを確認すると急いで宿屋に向かった。
__________
幸いレイナ宅から現在利用している宿屋はそこそこ近かったので時間はあまりかからなかった。
「やった、まだ明るいぞ!」
宿に向かうとそこにはもう閉まっているらしき看板がぶら下がっていたが中からは明かりが見える。
「すいません!まだ泊まれますか!?」
鍵が相手いたようで扉を開けてすぐに声をかけるとカウンターにいたおばちゃんにギョッとされたあと笑顔になった。
「ガイナスさんね。大丈夫よ、でも銭湯はもう今日はやってないよ」
嘘でしょ……
「着替えだけでお願いします」
「そうかい、わかったよ後で用意しておくよ」
「わかりました、ありがとうございます」
「ではおやすみなさい」
寝床は確保できました。
__________
次の日、朝早くに目が覚めた私は朝食をとった後、ギルドへと向かっていた。
アルコールも残ってないのでとてもいい気分だ。
ふふふ……やはりある、一番目に止まりやすいところにあったぜ。
武道大会編のメインイベント、そう。
武道大会のポスターだっ!
開催は今から一ヶ月後で優勝者には大金貨50枚、大貨幣はもともとの貨幣の10倍の価値がある、つまり金貨500枚。
大発生した狼を26回根絶やしにしたのと同じ報酬、おかげで冒険者ギルドは昨日のお通夜雰囲気すっ飛ばしてなんか活気がすごい。
ウチは参加したらざまぁされる。
興味はあるので観客Fくらいでいたい。
参加しないぞ。
今日の依頼内容は主に駆除系が多いな。
ゴブリンやオーク退治、薬草採取、後は……護衛。
この護衛依頼、報酬は一人金貨15枚、襲撃を返り討ちにできれば出来高に応じた追加報酬。
依頼主は貴族、騎士が護衛すればいいのに……怪しい。
かなりの太っ腹だけど怪しさ満点だ。
商隊の護衛なら他にもちらほら見る依頼なのだけど。
当然受ける人物は知っている。
主人公だ!
貴族のお嬢様、護衛、最強主人公、何も起こらないはずはなく、イベント発生のフラグが立つのだ。
本来そこに生息していない魔物とかね。
強さのインフレには取り残されたくないが……主人公依存のパーフェクトゲーム&パワーレベリング、昨日できなかったしやってみるか。
なんだあの魔法は!?くらいは言うとも。
チャンスは主人公一行があの依頼に目を通してからだ。
待機してから体感20分、『そういえばステータス確認ってラノベ主人公みたいに自分だけ他人のステータスが見えれば強みになるけど今の私みたいに他人のステータス閲覧ができないとあんまり強みはないな』と考えていたとき見知った冒険者を見かける。
我らがハイン君だ!
ついでにメインヒロインさんとサブヒロインさん。
「ねぇハイン、今日はどれにする?」
「ご主人様!私は狩りがしたいです!」
「まぁまぁふたりとも……」
ふふふ、来たよ。
「……これは?」
「武道大会、誰がこの国で一番強いのか決めるらしいわ」
「面白そうですね!やりましょうよご主人様!」
「えぇ……でも僕達勝てるかな?」
「ハインなら大丈夫よ、それにせっかくのお祭り騒ぎ、楽しまないと損でしょ?」
「そうだね、受けようかな。でも今日の分はどうする?」
「ご主人様ご主人様!これなんてどーです?お金が懐でホクホクですよ!」
サブヒロイン、いいぞぉ!その依頼見せてやんな!
「ふむ、護衛か……でも僕達じゃ力不足かもしれないし」
なんかラノベのときと違って躊躇っているけどドラゴン倒しておいてそれは嫌味じゃよ。
だがここで出番だな、私の。
「ご主人様となら大丈夫ですよ!」
「うーん…そ」
「そこの迷っている君たち!何かお困りのようじゃないかな?」
主人公を納得させる寸前、話に入るなら個人的には最高のタイミングだと思う。
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