第3話 ステータスは書く側も楽かもしれないのだ
「さっき言った支援魔法の強さはどれくらいだ?」
「……そうですね、例えば『筋力増強』は1段階強化で1.5倍、2段階強化で倍の効果があります」
「魔法結界の強度は?」
「そうですね……私とメルシーさんの場合は多分私のほうが強固に張れます」
「なるほど」
じゃあドラゴンの攻撃を耐えたのは……なるほど命の恩人か。
「ありがとう。助かったよ」
「はい、お役に立てたなら嬉しいです」
……よし、大体わかったな。
「支障がないときは俺とリリィが前衛として戦うから後ろからの援護を頼む」
「わかりました」
ロックドラゴンはもうすぐハインとそのメインヒロインが倒すからリベンジできない。
ガイナスの、んぎぎ……タイムの始まりである。
私には恨みなど何もないから街の冒険者モブに追放したことを遠くで笑われるのがオチだろうが。
まぁいい、こうなったらやってやるさ。
原作とは逆にできる限りざまぁを素通りして私の死亡フラグ回避だ!!!
「……今更ですが冒険者プレートからステータスを確認すればよかったのではないでしょうか?」
「え?」
そんな設定あったのかい。
……でも確かに言われてみればそうだな。
この手の作品で出ないはずがない。
「あぁ、すまない、すっかり忘れていたよ。」
「いえいえ!お気になさらず」
「それじゃあ見せてもらおうか」
「はい、どうぞ」
私はシルヴィアから受け取った手のひら大のプレートに表示された文字を確認した。
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名前:シルヴィア・ウィンディリア(16歳)
レベル:25
Bランク冒険者
所属:炎雷猫
職業:魔法使い
体力 :186/240
攻撃力:49
防御力:62
素早さ:78
魔力 :79/330(+110)
精神力:151/400
運 :21
スキル一覧
『中級剣術』
『生活魔法』
『自然治癒強化(特性)』
『状態異常解除(スイーパ)』
『全体強化付与LV3』
『筋力増強付与LV2』
『魔法結界』
『魔力量向上LV1』
『魔力向上付与LV1』
『回復魔法(キュア、ヒール、メデック)』
『回復速度上昇LV2』
称号
『治癒師』
『聖女候補』
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…………これはひどい。
「どうしたんです?顔色が優れませんけど……」
「いや、大丈夫だよ」
私は慌てて返事をした。
あったなー聖女候補。
実質死に設定なやつ。
伏線にすらならなかったなー
……パーティー名が猫じゃん。
そして唐突のスキルレベル設定、多分高けりゃ強いのだろう。
「わた、俺のステータスはこんな感じだ」
「はい、拝見しますね」
シルヴィアは私の冒険者プレートを受け取った。
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名前:ガイナス・ハインド(21歳)
レベル:37
Aランク冒険者
所属:炎雷猫
職業:戦士
体力 :202/380
攻撃力:201
防御力:96
素早さ:139
魔力 :42/92
精神力:25/203
運 :80
スキル一覧
『生活魔法』
『上級剣術(封印)』
『初級体術(分類不明)』
『スタミナ増加LV4』
『筋力強化LV4』
『筋力一時増加LV2』
『敏捷性上昇lv2』
『回復量上昇LV2』
『隠蔽LV1』
『鑑定(要調査)』
『危険察知』
『財産管理』
称号
『ドラゴンスレイヤー』
『お金の管理のことならおまかせ』
『実質鑑定スキル』
『多分いい人』
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「あの……ガイナスさん、これって」
シルヴィアが私の冒険者プレートを見て少し困ったような顔をしている。
「ああ、わかっている。『お金の管理のことならおまかせ』とか『多分いい人』ってなんだよ……」
ステータス構成からガイナスと私の混合表記になっているな。
「えっと、ガイナスさんのステータスもすごいですよ!」
「そうなのか?」
「はい!普通なら『筋力強化』と『筋力一時増加』があるだけでもすごいんですよ!魔物と戦うのに不足する地力が高く戦いやすくなるんです!」
「そうなのかー」
「それにこの『多分いい人』って称号ですが、冒険者としては珍しいですが、街では結構いるのでそこまで珍しくないですね。私の場合は『聖女候補』の中に省略されてます」
「なるほど」
「はい、ただ、ガイナスさんの場合はその二つだけじゃなくて、鑑定スキルらしきものまでありますのであっ……あの、えっと……冒険者以外でも十分活躍できますよ」
気を使わなくていいが遠回しに冒険者やめたほうがいいんじゃねと言われた気分だ。
せやな。
でもガイナスの精神が復活?したらクビ待ったなしぞ。
「ありがとう。でも俺は冒険者を続けるよ」
「そうですか」
「時間をかけてしまってすまなかった。ありがとう」
「いっ、いえ!そんな!」
それからシルヴィアと別れガイナスの記憶を頼りに宿屋に行くことにした。
「……ガイナス拾い食いでもしちゃったのかな?」
「信じられないくらい大人しかったわね……スキルの『剣術封印』も気になるけどそれ以上よね」
「ど、どうかしましたか?」
信じられないものを見たような顔のリリィとメルシーにシルヴィアは心配した。
「昨日と様子が全然違うのよ。」
「確かにそうですね。今日はなんだか学園に通った人みたいに建設的な話をしてましたし。」
「『多分いい人』なんて最後にステータス見たときにはなかったね。先週だった気がするけど」
特にパーティーに先に入っていた二人は驚いていた。
「あの人に何かあったのでしょうか?」
そんなはずはない。
ハインを追放したときと比べ精神が大幅に成長しているようだ。
その間に大きな変化などなかったはず。
「うーんどうだろうね。」
「もしかしてあの女の子かなぁ……」
リリィがボソッとつぶやくと他の二人には聞こえたようでみんな一斉にリリィの方を見る。
「あぁごめんね、気にしないで!」
「まぁ、女が関わってるのはありそうな線ね。」
「「そうだよねー(ですね)!」」
三人はお互いに顔を見合わせ笑った。
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