第2話 追放モノは謎のデバフがなければなんとかなりそう

さて、まず自分や彼女たちをこれ以上不幸にしないためには反省会と物語の展開の確認が必要だろう。


「みんな、ちょっと聞いてくれ。帰って休むより先にすることがある」

「ん?何かあったの?」

「反省会をする。次へ活かすために」


……シルヴィアがもつ責任感からの落ち込みを慰めるためでもあるのだけど。


「そうですね。ガイナスさんの提案に賛成します。」

「シルヴィーちゃんが言うなら私も賛成かな!」

「決まりね。じゃあそこのテーブルでいいかしら?」

「あぁ。」


それから私たちは席につき、話し合いを始める。

提案した私が最初に口を開く。


「まず今回の失敗の原因だが……」


その言葉にシルヴィアが申し訳無さそうに下を見ていた。


「……いや、シルヴィア、それは違う。第一はわ…俺が先走ったのが原因だ。」


「いえ、私が支援、回復役なのに何もできなかったからです……」


「いや、それでもシルヴィアが傷ついてなければ勝てた、なんてのは強がりにしかならない」


「……でも、私がいたからロックドラゴンの攻撃は全部ガイナスくんに集中したんですよね……?私のせいですよ……」


そのあたりの戦闘シーンは物語の中で飛ばされてガイナスがアホなこととシルヴィアが主人公並のパフォーマンスがないから負けたことしかわからなかった。

つまり私には詳しいことがわからん。


だからここはリーダー格であるガイナスとして素直に謝ろう。


「シルヴィア、君にも迷惑をかけてすまない。」

「……!そ、そんな、悪いのは私だから……!私が悪いんです!」

「いや、でも……!」

「まぁまぁ、シルヴィーちゃん落ち着いてね」


さっきの2つのことと私の社会経験、仕事から引用してこれを反省材料としよう。


「今回の失敗原因の大きなところは事前のリサーチ不足、俺の無謀な突撃、そしてシルヴィアのできることをみんなで知識として共有できてなかったことだ」

「そう……なのですか?」

「……うん、そうだね」

「……まぁそうなるわね」


いままでドラゴンクラスも討伐できてたのが主人公の支援能力だったという設定が改めてヤバいことがわかる。


「いや巻き込むようであれだが俺たちは全員未熟だったんだ。シルヴィア、君を攻めてるつもりはないと先に言っておくが……アイツはかなり支援魔法が強かったようだ」

「……」

「……ハイン君のこと?」


主人公のやつハインって名前なのか!

リリィさん助かりました。


「そうだ。だが、回復が間に合わなかったら俺は意識を失うどころか死んでたかもしれない」

「そうよね、確かにあれは危なかったわ。」

「……そうですか」

「あぁ、だから今回はお互い様だ。……違うか、俺がやっぱり悪かった」


後にガイナス一行はわかることだが支援魔法と回復魔法を時間差なく次に次にと出せるのは主人公の他は希少とのこと。

知識不足だ。


「そして提案する。ドラゴンクラス、つまりAランクの討伐依頼はしばらくせずB、Cランクを主体に駆除依頼を受けようと思う。何か意見があるなら言ってほしい」

「うーん、私は別にいいけど」

「……はい。それで構いません。」

「よし、じゃあ次は戦闘スタイルについてだが……」


そうして私は彼女たちの戦闘スタイル、できることを確実に聞いていく。


「シルヴィーは補助と回復メインだな。」


「はい、補助系と回復系の魔法と自衛ですが剣技を得意としています」


「リリィは前衛、俺とだいたい同じだったな。」

「うん、そうね。あとは回復は私自身にしかできないからちょっとね」


すまん回復できるの初めて知った。


「メルシーは後衛、攻撃魔術を中心に得意としていたな。」

「そうよ、一応上級魔法も3種なら使えるわ」

「わかった。最後にガイナス、まぁ俺だが……」


上級魔法、主人公連発してたなぁ……

ガイナスは前衛であるのは知ってるが何ができるんだ?


なんか剣に火がついてかつてはドラゴンを斬り倒してたがそれ以外は主人公に殴り合いで負けたし他の攻撃方法は人間辞めたときのやつしか知らんぞ。

作者の手抜きがこの瞬間にも襲ってくるな。


「俺は何ができるんだ?」

「えっ?……うーん、そうねぇ、……あなたは……そうね、とにかくバカみたいに強いわ」

「……そうか?」

「そうよ。だから私たちがしっかりサポートすれば問題ないんじゃないかしら?」


でもハイン(主人公)が抜けてからボッコボコにされておぉ憐れ憐れざまぁだったしなぁ。


同時に作者も大好きな美少女枠なのにシルヴィアはガイナスに勝手に恨まれてプレッシャーで病んでから危うくガイナスからR18よろしく大きなお友達タイムをされるところ……だった。


もっともなぜかいた(ここ重要)ハインにガイナスは瞬で敗北しシルヴィアは助けられてベタ惚れ。

結果主体性なしのハーレム持ち主人公の主人公全肯定サブヒロイン堕ち、当然のように戦力的には主人公以外はヒロインズ強いのか微妙。

強くなれない。

個人的主観だが救いがない。


メルシーとリリィはパーティー解散後より途中から一切登場しなくなる。


「とりあえず明日の討伐依頼はどうするか決めないとね!」

「そうですね、今日はもうクタクタですし」

「そうだな。今日の失敗を踏まえて明日からはより役割論理を軸に一層連携を意識していこう。それでは解散だ。」


こうして私たちは解散することに……

しかし、私は気づいてしまった。

シルヴィアから具体的にどんな魔法使えるかきいてねぇ!


それに私がガイナスと同じ戦い方できねぇ!

これじゃあ私の破滅フラグが……


「ちょっと待ってほしい……あの、ところでシルヴィアさん」

「な、なんですか?」

「君の使う回復と補助の魔法について教えてくれないか?」

「あっ……すいません、すっかり忘れてました。」

「すまない。聞きそびれた」


「いえそんな!」


……さすがの私も気づいた。

これは無視してたらヤバい。

シルヴィアの魔法の種類次第で私の今後の生死が決まるといっても過言ではない。


「えっと、私が使えるのは『治癒』と『状態異常解除』、『強化』と『防御壁』『回復量増加』と……あとは……」

「待ってくれ!ちょっとメモを取るから!!」


私は急いでガイナスが所持してたボロいノートを取り出した。


「まずは『治癒』だがこれは回復量、つまりどのくらい治療できるんだ?」

「はい、『治癒』魔術の回復量は10段階で私は5が最高です。なので私の場合だと骨折などの重傷まで治せます」

「なるほど、それはすごいな。」

「!そうですか……その、ハインさんはどれぐらいなんですか……?」

「多分使えないぞ。」

「……えっ?」


「俺の魔法は……あんまり得意じゃないからなー。支援魔法は何が使えるの?」

「はい、私は『筋力増強』と『魔力上昇』、『魔法結界』が使えます。

「なるほど……あぁ、俺は物理攻撃なら任せてくれ。」


本物のガイナスなら得意だからね。

今は知らん。

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