F級冒険者とA級冒険者①

 F級ダンジョンに部類される『ツブァイダンジョン』に、俺と彩花あやかはやって来ていた。



「ここがダンジョンの中、か………」


 最初に見えるのは、大草原。そして、川や岩が堂々とあったりと、以下にもこれがダンジョンだと分かるような景色をしていた。


「どうッスよか、先輩? ダンジョンの中も案外良いもんッスよね?」

「…………あぁ、そうだな」


 彩花あやかはきっと心配していたのだろう。俺がまだ、強気でいるんじゃないのかと。

 だからこそ、時間を掛けてまでやって来たこの見晴らしの良いダンジョンで、過去トラウマを徐々に慣らそうとしているのだろう。


 俺が気づかないフリをして、彩花あやかに質問をした。


「それで? さっきは、冒険者はモンスターを倒せばいいって言っていたが………細かく言えば、他にもあるんだろ?」

「えぇ、もちろんッス」


 返答をした後、彩花あやかは俺に地図を見せてきた。


「先輩。この赤丸って、何の意味が込められているか分かるッスか?」

「ふっ、俺が分かるとでも?」

「いや、そんな自信満々に言われてもッスね………」


 頬をかき困った顔をした彩花あやかであったが、意識を切り替え。詳しく説明をしてくれた。


「え〜とッスね───まず初めに、ダンジョンからモンスターを効率良く倒せる『アイテム』が出現するのは知っているッスよね?」

「そんな事もちろん知って───あぁ、そういう事か。

 ───用するに、アイテムを見つけて冒険者ギルドに売れさえすれば、副収入として得られるというシステムになっているのか」

「えぇ、そうッス」


 彩花あやかは少し間を置き。もう一度、俺に地図を見せてきた。


「で、話は戻るッスが───この赤い丸は、一時間ごとにアイテムが出現する場所を示しているんッスよ」

「え、すご、何だこの地図。有能すぎだろ」

「あ、でも値段は少し高めッスよ?」


 話をしている時。───突如、割って入って来たの1体のモンスターであった。


『ガウゥゥゥ!』


 事前に習得していた【気配察知】のおかげにより、攻撃を躱し。両方とも、距離が十分離れた場所に着地をした。


「どうするッスか? 先輩が言うでしたら、私が直ぐ終わらすッスけど───って、もう行っちゃたッスね」


 彩花あやかの言葉を最後まで聞かず、俺は冒険者になって初めての戦闘を始めた。









 目の前に居るモンスターは、純黒な毛皮に獰猛な牙。まるで、〝地獄の番犬〟に似た姿をしていた。


(まずは………【鑑定】)


 不眠不休………ではないが、必死に覚えたスキルの内の1つを俺は使った。



 ──────────────────

 ヘルハウンド「D級」

 レベル「13」


 魔力「D」

 筋力「F」

 体力「F」

 俊敏「D」

 耐性「D」


 〜〜〜保持スキル〜〜〜

 ユニークスキル:【火炎操作】


 アクティブスキル:【気配察知 Lv2】【火炎耐性 Lv3】【物理耐性 Lv1】

 ──────────────────


(え、強くね?)


 スキルはどうあれ、基本能力スペックの内のいくつかが俺を簡単に上回っていた。


 そして、俺は1呼吸を置き。腰に掛けてある長剣ロングソードを引き抜いた。


(レベルは12違いか───だが、それでいい。冒険者という『日常』を楽しまなくちゃな!)

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