第2話成神夜凪
成神夜凪は、有名企業の社長の父と元超トップ級の女優の母から『天才の血を受け継ぐ子』として産まれた。この出来事は新聞紙やニュースでも取り上げられ、全国の人々が知ることとなった。そんなことを知らないまま産まれた夜凪は、親から言われたとおりに英才教育を受けて育ち、10歳になるころには『両親以上になるのではないか』などと多方面からの期待が強まった。この頃から夜凪は自分のために行動はせず、両親が言ったようにだけ動いていた。
それが自分の最善手だと思っているからだ。
英才教育の講師や知らない人達に両親の偉大さを聞かされ続け、まだ幼かった夜凪は両親に対し憧れを持った。
夜凪の中でも『両親の言うことを聞いていたらいい』という固定観念が根付いていた。
そして、夜凪の両親の口癖の「どんな人に見られても恥ずかしくない人間になりなさい」という言葉が夜凪の目標となっていた。
その目標ができた時から夜凪は『成神夜凪』という自分を押し殺し、自分を他人が見る目線で考え行動することが多くなった。
誰が見ても優等生になれるように努力する。しかしその努力は人には見せず、あくまで『天才の子』という名にふさわしいように、何の努力もせずに難なく勝ち取った素振りをする。
無表情で。
まるで機械のように。
夜凪は見る人のために自分を磨く。返ってくるのは期待に応えれた時の褒め言葉や栄誉だけ。
そんなハイリスクノーリターンな人生を何の不思議にも思わず、当たり前のように実行していたのが幼少期の成神夜凪だった。
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