期待されたくない俺の第二の人生は魔族の王でした。
白星
第1話プロローグ
『期待』なんて言葉は決して良い意味ばかりではない。
期待された人は、一方的に期待している人にこたえるために努力しなくてはならないと思ってしまう。そして、その努力が一定値を超えてしまうと人間の心は壊れ、他人の期待などどうでもよくなってしまう。その瞬間、期待していた人の大半は何もなかったように見向きもしなくなる。
期待しているだけなのだから当然だ。
残されたのは縁の切れない家族だけ。
そんなことにはなりたくなかった少年は周りの期待にすべてこたえられるように頑張った。
少年の名は成神 夜凪(なるかみ よなぎ)。
夜凪はスポーツでは剣道で全国大会を優勝し、学業では中学に通っていた3年間で全国模試で1位を取り続け、最難関の高校に合格し、多方面からの期待にこたえていた。
全ては期待してくれている人のため、時には自分のやりたいことを押し殺してでもやり遂げることがほとんどだった。そんな夜凪は願う『もし2度目の人生があるなら、だれにも縛られずに自由に生きたい』と。たとえそれがどんなに辛い世界でも夜凪は自由に生きてみたかった。誰にも縛られず、自分の意志だけで生きていく人生を体験してみたかった。
人間はあこがれを強く持ってしまうと近づきたいと思ってしまうもの。しかし、夜凪は違う。
あくまでも二度目の人生で望む。
別に夜凪にとって今の人生が苦ではなかった。ただ、一度も経験したことないことに好奇心があるだけだった。
誰にも期待されずに自由に生きたい。そんなことを思いながら夜凪は毎日眠りについていた。
そして今、夜凪はどう見ても小学生の容姿をした自称女神下っ端と名乗って偉そうな面をしている人間ではない羽の生えた生物の前に立っていた。
夜凪達がなぜこんな場所にいるのか、それはまた別の話。
どこか不敵な笑みを浮かべた自称女神が口を開いた。
「あなた方には、それぞれ別種族の王となり、異世界を平和にしてもらいます。期待してますよ」
どうやら、だれにも期待されずに自由に生きたいという夜凪の願いは届かなかったらしい。
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