第2話:なぜ、人は選択をするのか? ②
私自身も算数は出来たが、数学は基礎を修得するまで学年の半分ほどの時間がかかっていたため、周囲とかなり後れを取った状態になってしまった。
その結果、留年は回避出来たが、評定平均などの進学に関する数値を算出する際に数学の点数が足かせになっていた。
現在は受験をする子供たちの増加が子供たちの刺激になっているようだが、懸念されるのは学習遅滞児童・生徒に対するケアがどの程度進んでいるか、子供たちにどの程度選択肢を与えているのかという点だ。
これらの懸念事項を挙げた理由として“直近の受験者数の増加に伴う学習内容のレベルアップ”・“学習内容増加に伴う学習ペースの高速化”など子供たちの学習環境の高度化が進み、ペースについていけない子供が挫折する要因に繋がっている可能性がある。
特に受験者数が多く、教育熱心な家庭が多い地域にある学校では子供の学習進度の遅れなどの学習トラブルが起きることで親からのクレームが増加するということも実際に報告されており、“現場対応がかなり難しい立ち位置を迫られている”という現代社会における教育観の複雑化の現状を表している。
現場としては“習熟度別学習”など子供たちが自分のレベルに合わせて学習出来る環境を整備したいと考えているが、教員不足などの理由で実施不可になってしまう、このような選択をすることで親からのクレームに繋がる懸念もある事から実施に踏みきれないという事情もあり、なかなか“学習機会の選択の拡充”が進まない。
1番良いのは“子供たちが望む学習法を提案出来る”事だが、現状から考えてみるとICT教育の拡充が進まないとこれらの選択肢を実現させるにはハードルが高いと思う。
特に習熟度別を同一クラスで実行させるには子供たちに貸与されているもしくは購入しているタブレット端末のデータを子供たちの学習レベルに合わせて設定する必要があるため、基本テキストの他に抜粋テキストや解説テキストなど補助教材の準備も必要になる。
ただ、これらを導入するには教材費を利用するのか、文部科学省などに要望を出して“学習環境整備・改善予算”として予算を計上してもらい、そこから捻出するのかの選択が迫られる事になる。
次に“社会適応性を向上させるためのツール”という考えがある。
これは本人が社会で生きていくために必要な人間関係の作り方を学び、実際に必要になる場面で実践するときに“選択”するということであり、この選択によって子供たちが成長していく過程で挫折や軌道修正など成功するための失敗を繰り返しながら自分の友人や味方を増やしていくことになる。
しかしながら、選択することになれすぎてしまうと今度は相手のちょっとした行動や言動に対して敏感になってしまう子供や相手と仲良くしていたのに何の前触れもなく、突然裏切られたことでその事を受け入れる事に時間がかかる子供なども少なからずいる。
こういうときに周囲の大人たちからよく聞くのは「お友達は他にもたくさんいるのだから、また作れるよ」という無責任に自分の経験を子供に対して押しつけてしまっている事だろう。
もちろん、同い年の子供が多くいるのなら、今後クラスが進級する時のクラス替えで新しいお友達に会える可能性もあるし、卒園や卒業して別の学校に入園・入学した時に別の園や学校から来た子と仲良くなれる可能性もある。
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