第2話 新潟 とんかつ太郎のタレカツ丼
今回も卵でとじないカツ丼の話です。
前回の福井県と同じく、新潟市においてもカツ丼というと、卵でとじていないカツ丼を指します。福井のソースカツ丼と違うのは、トンカツをソースにくぐらせるのではなく、醤油ベースのタレにくぐらせるということ。すなわち、これが新潟タレカツ丼です。
自転車で佐渡ヶ島一周を終えフェリーで新潟市にもどった私は、タレカツ丼を食べに行くことにしました。新潟の名物ローカルグルメとしてはタレカツ丼以外にも、三日月のイタリアンがありますが、イタリアンは佐渡ヶ島に渡る前に食しています。こちらもいずれ紹介する予定です。
タレカツ丼の発祥の店がとんかつ太郎。とんかつ太郎があるのは、古町エリアと呼ばれる、歴史ある町。アーケード商店街があり、ドカベンのキャラクター像があることでも有名な地域です。
ビル街の中に立つ巨大な弘法大師像を横目に、細い路地を抜けていくと、アーケード街の一角に、とんかつ太郎はありました。看板には新潟タレカツ発祥の店とありますが、思っていたよりこぢんまりとしたお店です。
タレカツ丼のお店としては、とんかつ太郎で修行したお弟子さんが開いたお店である、とんかつ政ちゃんの方が多店舗展開をしていて、どうやら規模は大きいようです。でもやはり、発祥のお店があるならば、そちらで食べるべきでしょう。
注文してでてきたのは、丼にご飯が盛られ、その上にカツが5枚重なるように載ったボリューミーなもの。ご飯はカツに隠れて、ほぼ見えない状態。腹ペコな自転車乗りには、これくらいあるとうれしい。
パッと見た感じは、敦賀ヨーロッパ軒のソースカツ丼とほぼ同じ。枚数は違えど、薄めのトンカツに目の細かいパン粉を使っているように見えます。ソースカツ丼がややソースの色で黒っぽかったのに比べ、タレカツ丼はきつね色と言ってよいでしょうか。そしてこちらもキャベツなどは載っていなくて、ご飯に直接カツを載せているようです。シンプル・イズ・ベストということでしょう。
まず1枚カツを食べます。サクサク。ンマーイ!
ソースカツ丼が洋食なら、こちらは和食です。印象としては卵でとじるカツ丼の、卵でとじられていないけどダシが染みている部分。それに醤油をかけた感じといえば良いでしょうか。いや、それよりもタレはもう少し甘い感じです。そしてダシに浸っている感はなく、サクサク感が強いのでカツ単体で見れば、こちらのほうが美味しいんじゃないのか。
ご飯が姿を現すまでに、カツを3枚食べます。ご飯出現。つぎにタレの染みたご飯をいただきます。これまた美味しい。このタレの染み込んだ感じ、これこそが丼ものの妙味。そしてソースカツ丼には悪いけど、ソースよりやはりこちらの醤油ベースのタレのほうが、ご飯にあっていると思ったのでした。
そしてご飯。日本海側を北上してきて、新潟県にはいったあたりから、やけにご飯が美味しく感じていました。米どころという思い込みがあるからなのかわかりませんが、特別高い料理でなくても、普通のお弁当なんかでもやけに美味しく感じていました。ひょっとして水が美味しいのかと想像したりも。
タレが染みていないご飯も美味しいのです。カツもタレの染みたご飯もタレの染みていないご飯も、みんな美味しい。カツ5枚でずいぶんボリューミーと思ったのですが、あっという間になくなりました。それに使っている油が良いのか、しつこい感じはなく、たくさん食べたわりには胃に来ないというか。まだまだ食べられそうな感じでした。
日本一周を終えたあと、色々と食べた丼ものを振り返ったのですが、丼ものの中ではこれが一番美味しかったように思っています。それくらい美味しかった。
写真はこちらの近況ノートにて。
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