三つのお題で物語を作ってみませんか。

 おいしい秋

 この国の秋にはいろいろな秋があるようだ。

「食欲の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」「読書の秋」……。


 彼らの仲間内で誰が言い出したのか、秋を食べて楽しむことになった。楽しむだけ楽しもうと。

 

「ただ食べるだけじゃオモシロクないからさ、期間を決めて『秋の食べ物競争』をしようヨ。秋の味覚を一番多く食べていたヤツヲ勝ちっていうノ」


「さんまの塩焼き、栗ご飯、焼き芋、松茸の土瓶蒸し、何でもヨシ! 期間限定のお菓子やスイーツ、ドリンクもアリダヨ。でも、レシートで確認するから捨てちゃう人ハ要注意ね」


「何かあったらその都度、協議(笑) 一番種類を多く食べていた人の勝ちとする。同じ数なら一番高価な食べ物ね」


「無理やり食べさせるのは反則だよ」


 大雑把なルールが決まると、みんな探しに行った。秋の味覚を食べそうな人を。

 何を食べても短期間では人の味は変わらない。

 何を食べても人はおいしい。

 人の姿をした人ではないナニカたちは秋の味覚を食べた気分を味わおうとしていた

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