ある朝、ベッドの下から座敷童が顔を出した

 ある朝、ベッドの下から座敷童が顔を出した。

 思わず「いつからそこにいたの?」と声を掛けると、指を折りながら「ご」と答えた。

 ここ二、三日、見かけていないということは「五日前から下にいたの?」

 頷いた座敷童が「おなかすいた」というので台所に連れていき、冷凍庫や冷蔵庫にあったごはんやおかずを皿に盛り温めたのを出すと、嬉しそうに食べ始めた。


 五日前には祖父の喜寿のお祝い会を大広間でやった。

 おめでたい席ということで、遠方に住む親戚も大勢来て盛大な会になった。

 途中で宴会に飽きた子ども達が部屋から出ていったが、かくれんぼをしていたのか。

 そういえば、「もーいーかーい」と声を聞いたような気がするようなしないような……。

 座敷童はモグモグ食べる合間に、「次は負けない」とか「鬼ごっこは必ず勝つ」とか気合を入れている。


 七年後、今度は祖母のお祝い会が行われた。

「鬼ごっこしようよ」と声がすると、宴会に飽きた子どもたちが部屋を出ていく。

 座敷童のリベンジマッチかと思い様子を見に行って、固まった。


『座敷童は鬼ごっこのルールを知っているのか⁉』


 座敷童の隣に赤鬼がいた。

 


 

 

 

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る