花の咲く街
Prologue:姉弟会談
・・・弟くん、花火ってどう思う?
花火とは、火薬と金属の粉末を混ぜて包んだもので、火を付けて、燃焼・破裂時の音や火花の色、形状などを演出するもの。火花に色をつけるために金属の炎色反応を利用しており、混ぜ合わせる金属の種類によって様々な色合いの火花を出すことができる。原則として野外で使用するのが一般的である。
かっこ、ウィキペディア参照。
そういう物についての説明を求めてる訳じゃ無いんだよ!
僕が言いたいのは、花火ってロマンチックだなぁとか、綺麗だねぇとか、そういうのを聞いてるのさ!
火花に色をつけるために金属の炎色反応を利用しており、
また始まった!
仕方ないだろう?
昔から、そういった祭りとは無縁な生活をしてきたから、そもそもまともに見たことすらない。
そうだね、僕らにはそんな自由もない。
姉さんは別に頼めば花火くらい見に行けるだろう?
いいや、花火なんて誰と見るかで9割がた感情が決まるといっても過言ではない。
大量の護衛と花火を見に行くなんて、私はゴメンだ。
成る程ね。
つまりは祭りの喧騒で風流な中、花火を観たいって事か。
いいや、そういう訳でもない。
さて、そろそろ時間だね。
ちょっとカーテンを開けさせてもらうよ。
おいおいなんでって、もしかして・・・。
うわ!マジかよ!
こいつ、家の近くであんなでけえ花火あげやがった!
許可取ってんのかよ!
許可はもちろん取ったとも。
にしても、何でこんな所で?
さっきも言っただろう?
花火は誰を思って観るか、誰と観るかで変わるものだよ。
大切な人と同じ時間と彩りを共有できる、なんてロマンチックなのだろうか。
それに・・・分からないかい?
分からないって、何が?
はぁ、呆れた。
本当に分からないみたいだ。
弟くんは自分に興味が無さすぎるね。
興味なんて言ったって、俺なんて、
おっと、それ以上を言うのは禁止だ。
自分を卑下する言葉を言うのは、特に今日だけは許さない。
何故ならば、今日は弟くんが目を覚ました日なんだから。
・・・良くそんなの覚えてるな。
当然だとも。
僕の半身が目覚めた日なんだ。
誕生日より、誕生日らしい日だ。
・・・ハッピーバースデイ。
この家の他の誰もが祝わなくとも、僕は君を心の底から祝うよ。
花火なんて・・・ただの火薬だ。
確かに僕もそう思っていたんだ、でも実際に作ってみるとそうでもない。
弟くんの誕生日に、弟くんの為に上げるとなると、特にね。
だからね、弟くん。
何だよ。
花火を見るたびに、僕を思い出してくれよ?
・・・何だよ、そんな死亡フラグみたいなの建てて。
ふふふ。
何だか、こんなに綺麗で美しい花火にも終わりがあるって思うと、つい寂しくなってしまってね。
どうせ、その後ロマンチックって言うんだろ?
いいや、今回は言わないよ。
珍しいな。
ああ、終わりがあるものというのは、本当に寂しい。
だからこそ、私は決めたんだ。
何を?
ヒーミーツ♡
教えろーーーー!
キャー!襲われるーーー!!
ハハハハハハハハハハ!
本当に楽しいなぁ、楽しすぎて・・・✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎。
ん?
花火で最後、聞こえなかった。
なんて言った?
・・・何でもないよ。
さぁ、心行くまで楽しもうじゃないか。
このロマンチックな、炎色反応を。
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