第20話 第十八章 私が考える戦略

 ここまで書いて、今や一般人がPODという紙の本、KDPという電子書籍を出版し、これを販売して印税を得ることは難しくないということを解説してきました。この章の終わりに、戦略としてどのような道筋を組み立てることが出来るか、形にしてみましょう

 まず原稿があります。これをどうするか、二つの道があります。

 ひとつはこの本でお伝えした方法を使ってPODやKDPとして商業出版する方法。ここで読者を得て印税を受け取ります。売れ続けるならば続けるべきでしょう。それだけでなく、その販売実績を添えて出版社に企画提案書で売り込み、採用されれば念願の紙の本の出版となります。

 もう一つは、小説投稿サイトに投稿して、お金にはなりませんがここで同じく読者を得て、そのページビューやコメントを添えて出版社に企画提案書で売り込む。

 どちらも共通しているのはPOD、KDP、そして小説投稿サイト共に、そこで読者を獲得しなければならない…、ということです。

 知っておいて欲しいことがあります。出版社に売り込むなら、原稿は執筆中のものであってはなりません。特に小説投稿サイトは、連載形式のように一話あるいは一章ごとに次々に投稿できることが、サイトの機能の売りになっています。

 しかし、未完のままの状態では、出版社は見てくれません。このことは、とても大切です。

 紙の本は、物質的な質量を持つ本です。私が書いた『The Beatles 音源徹底分析1~8』など、どれほどページビューが多くついても、歯の浮くようなお褒めのコメントが付けられても出版社からすれば論外なのです。

 文字数100万字超え? エクセル形式の定位分析表200枚以上? 頁数1842頁? 売れるかどうか全く分からない無名作家のそんな原稿を出版するリスクを採る出版社があるでしょうか。

 この拙著はPODとKDPでしか世に出せない代物だったのです。同じ理由で、未完の原稿は面白く読んでもらったとしても、出版候補の対象にはなりません。

 質量を持つ紙の本は、大きさ、重さ、取り扱いのしやすさ、見た目の印象…、これら全てを考慮されてデザイン、そして製本されます。最終的な形を想像できない未完の原稿は対象にならないことはもうお判りでしょう。

 さあ、貴方は自分の分身ともいえる原稿を、どのように世に出してあげますか?

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