第7話 第五章 アマゾンってどんな会社?

現代の出版事情


 ここで少し視点を変えて現在の出版事情を見てみましょう。インターネットが社会に登場してから、社会のあらゆる分野で変化変革が起こりました。出版業界ももろにこの波をかぶっています。

 インターネットの社会への浸透は日本では1995年頃からです。当時から電子書籍は存在していました。しかし、非常にマイナーで、一般社会への普及はアマゾンが登場してからでしょう。

 少しアマゾンの歴史を振り返ってみましょう。ジェフ・ベゾスによって1994年にアメリカで設立されています。

 ジェフは創業に当たってオンラインで販売できる商品の種類を20種類リストアップしました。これらを吟味して最終的に5つに絞り込みます。コンパクトディスク(CD)、コンピュータハードウェア、コンピュータソフトウェア、ビデオ、そして書籍です。

 最終的に、文学への大きな世界的需要、書籍は低価格であること、膨大なタイトルが出版されていることなどを考慮し、ベゾスは自身の事業をオンライン書店とすることを決めました。

 現在のアマゾンは楽天と同じように何でもそろうネットショップになっていますが、もともとからインターネットのオンライン書店だったのです。

 電子書籍はデジタル・データの本です。電子書籍の歴史はアマゾンの歴史と言っていいでしょう。

 特にkindle(“灯りをともす”意)という電子ブックリーダーが発売されてから、kindleの名前は電子書籍の代名詞となるほど、メジャーになりました。

 日本ではまだ電子書籍の売り上げ規模は紙の本に及びませんが、その市場は確実に伸びています。

 出版社も既存の紙の本の多くをアマゾンで電子書籍化しています。そしてPCが一人に一台、さらにはスマートフォンの普及によって、kindleの端末によらずともPCやスマホで読むことができます。今後電子書籍は間違いなくタイトル数も市場も大きくなることでしょう。

 一方で旧態の紙の本はどうかというと、活字離れが叫ばれて久しいためか、市場規模としては縮小傾向が続いています。

 しかし、紙の本への需要は根強く、無くなることはないだろうとも言われています。かつての音楽レコードと音楽CDのような、メディアの交代が行われるのかもしれません。今後アマゾンは間違いなく電子書籍の市場をリードしていくでしょう。

 作家としての本音を言えば、やはり自分の原稿は紙の本に仕上がって欲しいものです。何より、私にとって子供の頃から本という物は知恵と知識そのものという感覚があります。

 実名でも変名(ペンネーム)でも、自分が書いた本が書店に並ぶ、あるいは本棚に収まっている光景は興奮します。作家なら、やはり製本された紙の本で出版されたいというのが本音でしょう。

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