第6話 第四章 そういえば、出版したと言っていた…

祖父や父といった亡くなった人が書いた本を再出版したいが、方法がわからない。


 前章で述べたように、著作者が死亡したのち、この本の著作権は相続されていることになります。というのは、死亡時にはまだ出版社が絶版していない場合が考えられるからです。権利者である相続人の承諾に関係なく、契約期間中は出版社が増刷するかどうかを決めます。

 しかし、その後出版社は絶版したとします。この時、著作権を有する相続人は、その本を再び出版するかどうかを決めることができます。それまでの出版社とは違う出版社と契約する場合もあれば、もともとの出版社が再契約を持ちかけてくるかもしれません。

 これらの話がない場合、出版したいと思っても個人では困難でしょう。前述のように自費出版で紙の本にするには、そして相当部数を作るには、多額の経費が掛かります。

 出版社に企画提案することは出来ます。しかし出版社は、その本がかつて出版・販売されていたことを調べます。当然権利関係を確かめます。その過程で絶版の事実を知れば、その本にどれだけの投資価値があるか、食指を動かすか疑問です。

 勘違いしないでいただきたいのですが、絶版本が価値のない本だという烙印が押されるということではありません。出版社はあくまで本という製品を製造・販売する会社なのです。その基準は、初版2,000部から5,000部を印刷し、その冊数を売り切ることができるかどうかという点です。

 ここに前章で触れた「自費出版専門会社」が声をかけてきます。

『ご尊父の偉業を、もう一度形にされませんか? 』

などの誘い文句です。用心されるが賢明です。

 インターネットやアマゾンなどがなかった時代は、再出版は困難でした。しかし現代はそうではありません。

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