第5話 第三章 絶版になってしまった

出版社から絶版となった。


 作家にとって自分が書いた本は分身とも思える存在です。一度は出版社が本にしてくれたのに、『絶版』と通知が来た後は、出版社はもうその本の増刷はしないことを宣言したことになります。作家にとっては、企画提案書を撥ねられるよりもショックを受けるかもしれません。

 このような絶版本は日本中に多数あるに違いありません。私が本書を書いた理由の一つは、これらの絶版となった本を、再び世の中に出す方法を提供したいという考えがあるからです。

 本は出版物として販売されます。本は作家による創作物なので、作家は本の著作権を持っています。これは個人が所有する権利であり、著作権法をはじめとするいくつかの法令で明文化されています。

 とかく法律の話は難しく、また堅苦しいものですが、要は、出版社が絶版にしたということは、その本を複製印刷(増刷)して販売する権利を、法律上さらには作家と交わしている契約上も放棄したことになります。

 以降は、その本を出版する一切の権利の行使(出版・販売すること)は著作権を持つ作家が決めて、これを行うということになるのです。

 著作権の存続期間は著作物の創作の時に始まり、著作者の死後50年間に渡って継続します。これは個人が所有する権利であるので、例えば自分の父親が生前に出版し、現在は絶版になっている本の著作権を息子が相続している場合、その息子は、父親の死後50年に渡って権利を所持します。

 この間、その絶版本を出版するかどうかは、その息子が決めることになります。

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