第4話 第二章 自費出版は高い
自費出版は費用が掛かりすぎる。
自費出版という方法があります。これは昔からある方法で、出版社にとっては前述の安定した作業量を作り出すための都合のいい方法です。
出版社同士の考えでは、『売れる本を作り出す』という激烈な市場競争の仕事ではないととらえられています。しばし、出版社の立場になってみましょう。
出版社は本屋さんやネットショップでどんどん売れていく本を作りたいはずです。この時の最終顧客は、書店の来店客やネットショップの訪問者です。この人たちから代金を受け取り、このお金が売り上げです。
自費出版の場合、出版社がする作業は何ら変わりがありませんが、最終顧客のほとんどが、作者です。作者が払うお金が売り上げです。
自費出版の本は、出版社にとって書店で売れようが売れまいがどうでもいい物です。こう言ってしまうと身も蓋もないでしょうが、事実です。
出版社は一冊の本を出すまでの経費として以下のお金をかけています。
1.契約金、原稿料(売れっ子作家の場合)
2.編集費用(校正、校閲作業など)
3.デザイン料(表紙、挿絵、写真の使用料など)
4.印刷・製本費用(紙代、組版、印刷代など ※印刷部数により増加する)
5.広告宣伝費
6.輸送費(取次を経て書店に届ける)
7.上記作業における社内人件費その他の経費
8.作家に払う印税
もうお気づきでしょうが、自費出版はこれらの経費のうち、1と8を除いた多くの経費を作家に負担させて行う出版形態です。
当然ながら最終的に出版社の利益となる金額がこれに上乗せされて作家に請求されます。仮に2,000部を作る契約が出版社と作家の間で交わされたとします。1冊の値段が\1,000.-に設定されたとすると\1,000.-×2,000部として、作者である作家に対して\2,000,000.-の請求がされます。この場合は全冊全額買い取りです。作家の家に2,000冊が届けられるでしょう。
これは一つの単純な形式です。実際には一部委託販売のように出版社が通常の取次店経由で書店に流す約束がされる場合もあります。
しかし、基本的な形は上記の通りです。作家の出版目的がこの形式に合ったものなら、例えば作家自身の講演で手売りをしていくなら、目的に沿った書籍化になると思います。
ここで気を付けなければいけないのは、作家が自分の原稿を企画提案書と一緒に送った出版社が、表向きには自費出版をメインにしている会社とはわからない場合です。
このような出版社は、企画提案書とサンプル原稿に対して、大変良い出来であるので、ぜひわが社で書籍化しましょうと持ち掛けてきます。内容を褒めそやします。作家は悪い気はしません。ばかりか経験の少ない方は、それだけで舞い上がってしまいます。
悪質とまでは言いませんが、このような手法で自費出版に持っていく、それ専門の出版社が多数あります。彼らも生き残りに必死なのです。
自費出版の中には、かかる費用の半分を作家に求めて、作家にかかる費用を少なくした「合同出版」という形を提案する出版社もあります。費用が少ないと受け取ることもできますが、この場合も本質的には全額の自費出版と同じです。
考えてみてください。費用見積もりをするのは作家ではなく出版社なのです。かかる費用の単価をいくらで算段するか、すべて出版社の胸一つです。さらに言うなら、『費用負担を半分出版社が面倒見ます』と言ってはいますが、実際の出版社の会計を作家は確かめることはできません。
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