第3話
そして、閃光と共に現実世界に戻ってくる。授業の進みぐあいからほんの一瞬であった事を表していた。
転生か……。
チラッと茜さんを見てみる。長い美しい黒髪が日射しにあたり艶やかに光っていた。当たり前だが制服姿で耳は普通であった。
すると、隣の席から何発か蹴りが飛んでくる。クリスと名乗る見知らぬ少女からであった。しかし、蹴りがヒットすると痛い。どうしたものかとクリスを見ると。何かノートに大きく書き始めて『お姉様は私の物よ』と見せた。
このクリスと名乗る少女は極めて精神年齢が低いらしい。その一見おしとやかそうな見た目とは裏腹にとかく攻撃的である。
茜さんが天使の生まれ変わりなら誰もが納得するだろうがこのクリスなる人物が天使とはとても思えない。そして、授業が終わるとこの攻撃的なクリスを何とかして欲しいと茜さんに頼みに行くと。
「わ、私……蹴りを入れる何て怖い事してないです」
あが、猫をかぶったぞ、ホントにこのクリスは天使なのか?
「クリスの事だから蹴り位で済んで良かったと思いなさい」
「お姉様……あすが、お優しい」
クリスは目をウルウルさせて感激している。その表情は先ほどまでとは考えられないほど美しく、まさに天使である。しかし、総合的にはやはり魔族の方が似合っている。
さて、授業も終わった事だし帰るか……。
と、クリスも帰り支度を始める。
「お前、何処に帰るのだ?」
今日突然現れたクリスに気楽に質問すると。
「あなたの家よ」
はて、何か聞きなれない言葉が発せられた様なきがしたが。
「大丈夫、家族は洗脳済みです」
はて、少し疲れているのかこの娘の言っている事が理解できないぞ。
「本当はお姉様と住みたかったけどどうしてもダメだと言うので」
そうだろう、こんな極悪天使となんかと一緒に住みたいのが居るわけがない。
で、だが。
「お姉様の迷惑になるから左京の家なら良いかと……」
僕の家かよ!!!!!
突然、現れて。突然、蹴りを入れられて。突然、一緒に住むだ。うぅ、頭が痛い。軽くハンマーで殴られた気分だ。
「そうなの、何でこの魔族と暮らさなければならないのよ」
「それはこっちのセリフだ。何故こんな暴力天使と暮らなければならない」
「ま、可愛い妹が出来たと思って諦めてね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます