第2話

 友達なんていなかった。


 僕の名前は『黒岩 左京』ごく普通の高校生である。授業など興味も無く教室から見える空などを眺めていた。


 次の授業は英語か僕は抜け出す事にした。と、言っても友達などいない為……イヤ、正確には野良猫のクロがいた。


 その名のとおり真っ黒い黒猫であった。そして、高校裏の空き地でクロを待つ。気まぐれなクロだが僕がこの空き地に居ると自然と寄ってきた。それから空き地の盛り土に座り空を眺めクロを待つ。


 すると……。


 キーギーガシャン近くで車の事故でもあったようだ。嫌な予感がした。


 僕は急いで音のした路地に向かう。現場にたどり着くとクロが血塗れで倒れていた。クロをはねたと思われる車はそのまま立ち去っていた。


 僕がクロにゆっくりと近づくとまだ息があった。僕どうして良いか分からず、オロオロとしていると。


「早く私に見せて!」


 クラスメイトの『新宮 茜』走って来る。茜はクロを抱きしめるとクロは薄い光に包まれる。


「茜さん……」

「黙って、気が散る」


 それから数分間光に包まれたクロは茜から離れ何事も無かった様に歩きだす。良かった、ただでさえ、クラスで浮いているのにクロが居なくなったら僕はどうしたらいいのか分からなくなるところだった。


「茜さんだったよね、クロを助けてくれたみたいだけど今の薄い光は何?」

「やはり、覚えていないのね」


 茜は寂しそうに呟く。


「さ、授業に戻るわよ」


 茜の言葉に渋々従う事にした。クロはそんな私を見守る様に「にゃー」と鳴く。薄い光の詮索は後回しだ、私は教室に戻ると見慣れない女子生徒が隣に座っていた。


 誰?と問いかけようとした瞬間に女子生徒は「あなたねネロサの転生した成れの果ては」


「ネロサ?転生?」

 

 そこに茜が来て「クリス、左京くんは前世の記憶が無いの、いきなりは失礼よ」


「トワージュお姉様―――会いたかったです」


 クリスは茜に抱き着に頬をすりすりと茜の身体にすり寄せる。


「トワージュは止めて、今は『新宮 茜』よ」

「はい、お姉様、クリスは転生してないのでクリスと呼んで下さい」

「あの……」


 話がよめないでいると。クリスが私に仕方がない的に口を開く。


「簡単に説明するとネロサあなたは魔族で茜お姉様は敵である三大天使だったの」


 いきなり天使だの魔族だの言われてもピンとこないな。戸惑いを隠せないでいると時間となり次の授業が始まる。相変わらず。ぼーっと授業を受けていると突然、何か


 血流が早くなる様な感覚に襲われる。


 言わるフラッシュバックの様なやつだ。異世界にでも行ったかの様に不思議な感覚になり。目の前に白いドレスに耳がエルフのような茜さんの姿が浮かぶ。悲しそうにこちらを見て何か言っているが段々と茜さんは遠くなって行きやがて真っ暗なる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る