第七話① いやー、待った。待ったね
「各種
「馬鹿なッ!? ここの
「落ち着くのだっ! 単なる文法エラーだ、すぐに修正するぞっ!」
二柱が睨み合っている砂漠から少し離れた場所にて、マツリはジャスティンを含めた評議会メンバーにて準備が行われていた。幾つも用意された秘伝の巻物の中には、
主としては
「修正完了ッ!
「間に合って、欲しいのだ……っ!」
「……九十、百ッ!
「っ!」
だが間に合った。まだ二柱は攻撃を始めていないが、今すぐにでも、【
(でも、もし失敗したら……)
数字上、十回中九回は成功する見通しだ。しかしそれは裏を返せば、十回中一回は失敗してしまうということだ。その一回を引き当ててしまえば、もう何もかもが終わりだ。
二柱を吹き飛ばす為の
(そうなったらこの惑星は、みんなはどうなってしまうのだ……?)
マツリの心の内に恐れの気持ちが湧き上がり、俯く。自分達ではどうすることもできないくらい圧倒的な存在から不満を持たれたら、もうお終いだ。
無残に殺されるのだろうか。苦しみながら死んでいくのだろうか。それとも生かされたまま、永遠に利用され続けることになるのだろうか。
(いや。もう、そんなこと考えないのだっ!)
嫌な想像を、マツリは首を振って振り払った。失敗したら、もう死ぬだけ。そうなってしまったら、もう何もかもが無意味だ。
ならば成功率を少しでも上げて、みんなを守り切ったという明るい未来について考えたい。
「……
目を閉じたマツリは、小さな声でそう願った。誰にも脅かされることのない世界で、大好きな民に愛を、星に平和を。
やがて目を開け、顔を上げたマツリはその場にいる全員を見やった。ずっと自分と一緒になって頑張ってきてくれた評議会の面々が、自分を見ている。やってくれると、期待の眼差しで。
「
それを受け取ったマツリは、覚悟を決めた。自分にできる全てをもってして、あの二柱を吹き飛ばす。
「【
「この時を待っていたァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
しかし、最後の
それと同時に、彼を含む革新派の面々が、次々と巻物を取り出していた。まるで、今から全員で
「
「じゃ、ジャスティン……?」
一部で盛り上がっているジャスティン達に対して、困惑の表情を浮かべる周囲の評議会の面々とマツリ。しかし聡明な彼女はその時にふと、理解してしまった。コーシの行方不明から始まった、この一連の騒動について。
重要な役割を担っていたコーシを連れ出せる権限。
全ての点が彼女の頭の中で線となって繋がり、一つの真実が描かれる。それは、つまり。
「お前が犯人だったのか、ジャスティンっ!!!」
「【
しかし、一歩遅かった。ジャスティン達の
「お、お前、まさかっ!?」
「気が付くのが一歩遅かったですね、マツリ様ァァァッ!!!」
「溜めた
長年に渡って溜め込まれてきた
それに気が付いたマツリは、慌てて
「
惑星ガイアと契約した、
ジャスティンも
「無駄ですよマツリ様。【
「
しかし、マツリのその試みは失敗した。いつもであればすぐに
「【
「っ! 皆の者、ジャスティンを捕えるのだぁぁぁっ!!!」
ならば力づくでと言わんばかりに、周囲の評議会の面々と一緒になってジャスティンへ襲い掛かったマツリ。しかしそれに対応するのが、革新派の面々だ。
「それもそれも、無駄無駄ですね。【
しかも次の瞬間、ジャスティンはその場から消え失せた。驚いた面々が振り返ると、自分達の後ろに余裕の表情を浮かべたジャスティンの姿がある。
いつの間にか、彼の背後には後光がさしているように見えた。
「素晴らしい力だ。これが長年に渡って溜め込まれてきた
「ジャスティンお前っ! 何故だ、何故こんなことをっ!?」
「何故か、なんて……貴女への復讐に決まっているでしょう?」
力に酔っているかのようなジャスティンだったが、マツリの言葉にスッと目を細めた。
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