Ⅴ. そして、1週間目の朝
永遠に続いて欲しかったセーライとの時間は、ついに期限日の1週間目を迎えた。
学校から戻ったら、セーライはいなくなっている?
「大丈夫、僕らが戻るのは、夜の方が都合がいいんだ」
その都合が、私にとっても良い方向で働いてくれて安心した!
学校に行っている間に、セーライが消えてしまっているわけではない!
私達は、学校から戻ってから、別れを惜しむ時間が与えられる。
それとも、私が、別れを哀しんで、そんな姿を見たくないから、セーライは、嘘を付いている可能性もあるのかも.....?
面倒なやり取りしなくて済むように、私を騙して、私がいない静かな時間のうちに去ろうとしているとか......?
「僕らは一週間一緒に過ごしたのに、星来を騙して帰ってしまうように思えた?」
セーライに心を読まれるのは、随分慣れた。
最初は、どうして分かるのか驚いたし、勝手に人の心を読まれて怒ったりもしたけど、今は、言葉にしなくても気持ちが伝わる事が、快適にすらなっている。
地球人もこんな風に、相手の心が分かったら、もう騙し合ったり、ずるい事も出来なくなって、みんな正直に助け合って生きていけるようになるといいのに。
きっと、セーライの星、クレリア星では、そんな感じで、戦争とか貧困とは無縁なんだろうね。
700年後、地球もそんな風に進化しているのかな?
「星来が何度か生まれ変わったら、そうなっているよ、きっと」
「私は、何度生まれ変わっても、地球人なの? 生まれ変わったセーライと一緒に生きている未来は無いの?」
セーライとの出逢いは、このたった一回っきりのものだけなの?
生まれ変わったら、私の記憶は無くなると思うけど、セーライと出逢ったら、思い出すとかって事は無いのかな?
「僕自身とは正直、もう逢える事が無いかも知れない。でも、もしかしたら......」
「えっ、もしかしたら、何?」
「いや、後から話す事にする。ほら、学校に遅れるよ」
ホントだ~、もう8時になる!
映理、待たせている!
急がなきゃ!
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