Ⅳ. 何もかもが好きなのに......

「僕のどこが、そんなに好きなのか教えて」


 どこが......って、ひとつに絞るのが難しい。


「全部大好き!!」


 顔も、スタイルも、服装も、髪型も、物腰も、声や話し方も、性格も、能力も何から何まで全て大好き!


 今まで、セーライのように、私の好みそのまま体現してくれた人なんて存在していなかった!


 これから先だって、セーライのように、完璧な人が私の前に現れるわけが無い!


「最初に説明した通り、クレリア星人は、シェイプシフターで、どんな姿にでもなれる。星来が今、見ている僕の姿は実体ではない。ただの変身しているだけの仮の姿なんだ」


「仮でも何でもいいの! セーライが、私の前でこの姿でずっといてくれたら!」


「残念ながら、そういうわけにはいかないんだ。ここ以外では、僕はこの姿を維持する事が許されない。まだ、星来には言ってなかったけど、クレスタ星での僕の姿は、地球の生き物に例えるならば、Gと呼ばれている生き物を巨大化したような感じなんだ......」


 G......って、まさか......?


「あのGの事を言っているの? ウソでしょう? このセーライの姿からGだなんて、とても想像出来ない!」


「かけ離れているかも知れないけど、そういう事なんだ。その姿で地球人の前に現れたら、絶対に友達になってもらえないから、好かれそうな姿に変身したんだよ」


 そんなの信じられない!

 何かの悪い冗談に違いない!

 

 こんなに見目麗しい外見をしているセーライが、実は、巨大Gの姿をしているなんて!


「そんなのウソよ! セーライと巨大Gなんて、結び付かない!」


「以前、うっかりして、そのままの姿で地球人の前に現れた僕らの先輩は、課題を達成する事が出来ないまま、帰星したよ」


 そりゃあ、巨大Gのまま現れたら、私だってムリ!

 Gなんて、あのサイズでも見かけるだけでキツイのに、巨大化して現れるなんて、喜劇でしかない!


 本当に、セーライがGなんて事、有るのかな?

 私を諦めさせる為に、わざと嘘を付いているのかも知れない。

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